宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しいアストロロジー―

ホロスコープ随感 その17
発見、誤認、消えたケレス
― 天王星と海王星の狭間 ―

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歴史の交差点で発見された小惑星帯唯一の準惑星「ケレス」

●第1稿 : 2022年11月 7日アップ


ケレスは、天王星の発見から20年後に“第8惑星”と誤認されて発見されました。

火星と木星の間に位置する小惑星帯(アステロイド・ベルト、またはメイン・ベルト)の中で最大の星です。

IAU(国際天文学連合)によって小惑星番号1番がつけられ、冥王星とともに準惑星に区分されています。

西洋占星術は、十大惑星(メイン・プラネット)のなかにケレスは含まず、セレス(正式名称:ケレス)、ジュノー(ユーノー)、ベスタ、キーロンなど小惑星の一つで、その他の星として扱われているようです。

ですが、象意の解釈事例が少なく、研究が進んでいないだけで、十大惑星に負けず劣らずの重要な意味を持つのが「ケレス」です。

《 ケレス発見の前夜 》

宝瓶宮時代また水瓶宮の共鳴星「天王星」は、アメリカ独立戦争(1775-1783)の最中、ほぼ勝利か確定した1781年に発見されました。

アメリカ独立戦争は、イギリスからの自由と独立を勝ち取るための戦争で、天王星はそれゆえ“自由”や“独立”といった象意を持ちます。

アメリカの独立は、1783年のパリ条約によって正式に認められました。

その独立100周年を記念してフランスから送られたのが自由の女神像です。

一方、フランスでは、アメリカの独立に刺激を受けたのか、「自由、平等、博愛」のスローガンで有名なフランス革命(1789-1795)が起きています。

紆余曲折はありましたが、以降、個人の自由と権利が認められるようになったのは、ご存じのとおりです。

One-Point ◆ マルクス史観の学校教育によって、あたかも共産主義革命の先駆けかのように扱われたフランス革命ですが、それだとキリスト教的な「博愛」というスローガンは矛盾します。それを糊塗するために“友愛”や“同胞愛”と言い替えられることがあります。


《 古典アストロロジーの論理破綻 》

ケレスが発見されたのは、19世紀の最初の1801年でした。

ケレス

この時代は、長年の宗教支配や専制君主による権力支配から、個人の解放へと向かっていった時代にあたります。

アストロロジカル・エイジ(占星学的な時代区分)でいえば、双魚宮時代(そうぎょきゅう じだい)から宝瓶宮時代(ほうへいきゅう じだい)へと移りゆく第2コーナーです。

ケレスの発見は、一方で「双魚宮時代の古典アストロロジー」の終焉を意味しました。

先の天王星の発見は、「宝瓶宮時代の新しいアストロロジー」を示唆し、ケレスの発見はそれまでの古いアストロロジーの理論破綻を決定づけたのです。

太陽から土星まで7つの星によって理論体系づけられていた古代ギリシャの古典アストロロジーや、16世紀以降の古典占星術は、「古代ギリシャの世界観」をホロスコープ解釈の理論的根拠にとして成り立っていました。

しかし、近代科学の発展によって「熱冷乾湿」や「火土風水」といった古代ギリシャの世界観は、疑似科学(迷信)とされ、天王星に続くケレスの発見によって、土星までの7つの星によるホロスコープ解釈は完全に理論破綻がもたらされたのです。

One-Point ◆ それまで恒星の太陽と地球の衛星の月を含めて、第1惑星の水星〜第6惑星の土星まで7つの星でホロスコープは解釈されていました。ですが、第7惑星天王星に続き、当時は「第8惑星」と騒がれたケレスの発見によって、その理論が完全に通用しなくなったのです。


《 現代占星術の欺瞞 》

当時の望遠鏡は性能が良くなく「第8惑星」と誤認されたケレスの発見は、結果的に双魚宮時代の古典アストロロジーや古典占星術に引導を渡す役割を果たしました。

ここに古典理論によるホロスコープ解釈は終わりを迎えたのです。

ですが、理論が破綻し、終わった古典アストロロジーと古典占星術ですが、現在、なぜ「西洋占星術」という名で“ホロスコープ占い”が存在しているのでしょうか。

結論を申し上げますと「居抜き物件」と同じです。

廃業した古典占星術の軒下を借りて、「占い」(占星術)の看板を掲げ、古典占星術の象意解釈だけを引き継いで、新規開店したものです。

具体的には、“幻想”などを象意とする「海王星」の発見によって起きた「近代スピリチュアリズム」(心霊ブーム)にあやかって、「理論などいらない」とばかりに、古典占星術が築いてきた象意解釈のみを引き継いで“当たる/当たらない”の占いに特化して新たにはじまったのが現代占星術です。

One-Point ◆ 細かな歴史的な経緯はともかくとして、理論なきオカルトチックな「占い」(秘境占星術)としてはじまりました。古代ギリシャ時代から続く老舗のように装っていますが、関係者には申し訳ありませんが「海王星」の象意による“勘違い”や“妄想”また“欺瞞”のあらわれだといえそうです。


《 黎明と終焉にかかわる 》

ケレスにお話を戻します。

天王星に続いて発見されたケレスは、フランス革命の「自由、平等、博愛」といった発見当時の時代風潮によって、宝瓶宮時代の黎明(れいめい)にかかわる象意を持ちます。

また、第8惑星と誤認された経緯からは、海王星とも一脈をつうじ、双魚宮時代の終焉(しゅうえん)にかかわります。

その意味は、双魚宮時代の「終わり」と、宝瓶宮時代の「はじまり」などの交錯や変遷にかかわっていて特別な象意を持つケレスになっています。

実際、火星までの「パーソナル・プラネット」と、木星以降の「ソーシャル・プラネット」が交錯する中間に位置するのがケレスで、小惑星帯のなかで最大の星で、海王星軌道の内側を周回する唯一の準惑星になっています。

One-Point ◆ ご判断は皆さまのご自由でかまいません。ちなみに、宝瓶宮時代のアストロロジー「宝瓶星学」通称:宝瓶宮占星学では、十大惑星(メイン・プラネット)にとどまらず、「ケレス」と「ドラゴンヘッド&ドラゴンテール」を加えて12(13)個の星また占星点としてリーディングを行ないます。


《 真実の海王星とケレス 》

1781年に発見された天王星は、新しい宝瓶宮時代を象徴し、1801年に発見されたケレスは、双魚宮時代の終焉と両時代の交錯を象徴します。

その後、1846年に発見された海王星は、双魚宮時代の末期の支配星(共鳴星)となりました。

歴史的な経緯はそうなのですが、現代占星術の“幻想”が反映された海王星となっているために、宝瓶宮時代が実質的にスタートしていく今後は、海王星の新しい真実の象意が明らかになってまいります。

最初は、双魚宮時代を代表する「宗教」の神学者でもある天文学者によって、19世紀の初日に発見され、その後、見失ったものの同年年末の大晦日に宝瓶宮時代の市民を象徴するかのように、一般の天体観測者によって再発見されたドラマチックかつ歴史的な「ケレス」です。

One-Point ◆ 解釈は人それぞれでかまいませんが、ケレスには、ふだんは秘められた宝瓶宮時代の「個性表現」や「自己実現」などが示唆されることがあります。それだけに、宝瓶宮時代には欠かせない重要な星になっています。




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