宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代のアストロロジー―

魚宮の“支配星”の変化
[基本の基 #05]
― 古代の木星から現代の海王星へ ―

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白羊宮時代の支配者(ルーラー)から生まれた支配星

●第1稿 : 2022年 8月30日アップ


“支配星”(ルーラー)のお話です。

魚宮また双魚宮時代の支配星は、古代の「木星」から、近代になって「海王星」に変わりました。

支配星という言葉は、双魚宮時代に由来したものですが、象意解釈に大きな影響をもたらしてきました。

ですが、自由民主主義社会になった今日、“支配/被支配”の時代ではなくなってきたのも事実です。

《 “支配星”の誕生 》

占星術には、“支配星”(ルーラー)という言葉があります。

時代にそぐわなくなりつつあるこの用語は、いつ、どのような背景のもとに生まれ、象意に影響をもたらしてきたのでしょうか。

支配星は、ホロスコープが発祥した古代ギリシャ時代(前30世紀頃-前2世紀)の末期に生まれました。

ときあたかも白羊宮時代(はくようきゅう じだい)の末期であり、ローマ元老院の専制統治の支配下にありました。

「白羊宮時代、双魚宮時代、宝瓶宮時代」というのは、「春分点」の移動によってうつりゆく「プラトン月」(約2,160年:計算値)をアストロロジカルに表現した「占星学的な時代区分」のことです。

One-Point ◆ ホロスコープの12サイン(宮)は、「春分点」を牡羊宮の0度の起点とします。古代ギリシャ時代の「春分点」の位置からみると、現在の「春分点」はすでに1サイン(宮)分ほど移動しており、古代ギリシャ時代の12サイン(宮)でいう「宝瓶宮」の緒にあるために、現在を宝瓶宮時代といいます。


牡羊宮は星座ではうお座の位置

●「春分点」は、約72年に1度ずつ移動しています。

そのため、ホロスコープの12サイン(宮)と黄道12(13)星座は、古代ギリシャ時代にくらべて約1サイン(宮)≒1星座分ほどズレています。

かつては同じ位置だった「牡羊宮」と「おひつじ座」でしたが、現在の「牡羊宮」はうお座の位置にあり、かつての「おひつじ座」の位置には、ホロスコープの牡牛宮があります。

海外ではホロスコープのサイン(宮)と空の星座を区別しています。

アストロロジーでは、「おひつじ座」(Constellation Aries)ではなく、「牡羊宮」(Sign Aries)と、サイン(宮)で呼称しています。

一方、日本の占星術界隈では、牡羊宮(Sign)なのですが牡羊座(Constellation)と呼んでいます。

現代占星術は「海王星」の影響を受けていて、これまた“事実誤認”の一例になっています。

《 古代ギリシャ当時の社会常識 》




人類歴史は、→白羊宮時代→双魚宮時代→宝瓶宮時代というように、「春分点歳差」によるプラトン月に基づいて変遷していきます。

一般的には呼ばれないのですが、詳しいお話は、宝瓶宮時代の新しい宇宙観「数理法則とクオリアル・ワールド」(伝授講座)でお伝えしているとおりです。

ホロスコープが発祥した古代ギリシャ文明期は、神とサタン、天国と地獄、善と悪、心と体(精神と肉体)といった「対立二元論」を歴史パラダイムとする双魚宮時代の影響圏にありました。

「統一闘争論」(一元統治論)を歴史パラダイムとした白羊宮時代の末期です。

白羊宮時代は「火星」の象意に基づいて、“こうあるべき”といった自己主張による闘いと統一の時代で、勝利したものが統治者(支配者=ルーラー)となって国を治めてきた時代です。

One-Point ◆ 今日のように各自が対等かつ平穏に暮らすための「法」に基づいた自由民主主義の時代ではありませんでした。いわゆる「余がルールである」といった支配者(ルーラー)による一元的統治の時代です。


《 ホロスコープの支配者 》

古代ギリシャ時代に誕生したホロスコープも、当時の時代を反映して支配発想による解釈が行なわれました。

一方で、世界は「熱冷湿乾」によって成り立ち、「火土風水」といった四つの元素によって構成されていると支配的に考えられていたのです。

そういった当時、ホロスコープを統治する“支配星”(ルーラー)という概念が誕生します。

それぞれのサイン(宮)またはハウス(室)の象意を支配するのは誰か。

当時、肉眼で確認できた太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星の7つの星がそれでした。

One-Point ◆ 土星外惑星(トランス・サタニアン)の天王星、海王星、冥王星はまだ発見されていません。これらが慣例に基づいて、正式に水瓶宮、魚宮、蠍宮の“支配星”に定められるのは、1930年に冥王星発見されて以降のことになります。


時間が止まった解釈

●「熱冷湿乾」に基づく「火地風水」といった四元素説は、古代ギリシャ当時の最先端科学で、世界に大きな影響をおよぼしました。

しかし、近代科学が発達した近世以降は、疑似科学(迷信)として退けられることになります。

「熱冷湿乾」にせよ「火地風水」にせよ、地上の一つの現象にすぎません。

それをもって、宇宙の星の象意を解釈するのは本筋ではなく、無理があります。

ですが当時は、世界観が限界で宇宙観は不明でしたので、気づくことはできず真実だと思われていたのです。

もっとも、現代占星術では、今でも「火/地/風/水」を使っていますが…。

《 木星から海王星へ 》

海王星が発見されるまで、魚宮また双魚宮時代の支配星は「木星」でした。

それゆえ、古代ギリシャのアストロロジーや16世紀の古典占星術は、「木星」の象意の支配下に学術的に解釈されたのです。

その後、魚宮また双魚宮時代の支配星となった「海王星」の象意に基づいてはじまったのが、ご存じ現代占星術です。

そのため、現代占星術は海王星の強い影響下にあります。

美しい象意の一方で、現実に根づかない“まだ見ぬ理想”や“夢”や“妄想”また“事実誤認”や“現実錯誤”、さらには有名な占術師曰く“欺瞞”などです。

新旧支配星の「木星」と「海王星」の象意の特徴的な違いは次のようになります。

仏教やキリスト教など伝統的な“世界宗教”を象わす「木星」に対して、「海王星」は“新興宗教”を象わします。

また、“学問”や“学術”を象わす「木星」に対して、「海王星」は“神秘主義”(スピリチュアリズム)を象わします。

「木星」を支配星として発祥し発展した古代ギリシャのアストロロジーや16世紀の古典占星術は、近世に疑似科学とされた当時最先端の“学術理論”によってホロスコープ解釈を行なったのは、それゆえです。

一方、「海王星」が支配星となった現代占星術は、学術理論を捨てて、その象意解釈のみを受け継ぎ、“当たる/当たらない”のオカルトチックな秘境占星術(神秘占星術)に変わったのです。

One-Point ◆ 海王星の非現実的な象意に伴ない、心霊ブームとともに神秘的な占いとして誕生せざるをえませんでした。現代占星術の父とされるアラン・レオ自身が、自らの占星術をオカルトチックな秘境占星術だと明言しています。


新興宗教団体「神智学協会」

●「海王星」の発見後、その象意波動によって世界各地に新興宗教が雨後のタケノコのように生まれました。

日本も同様で、一例を挙げれば金光教、御岳教、大本など、19世紀後半〜20世紀初頭にかけて多く生まれました。

そのほとんどは、「木星」の象意である世界宗教の仏教やキリスト教の亜流で、「海王星」の象意に基づくものです。

伝統的な教えを現代人が納得できるように解釈しなおしたものも多く、19世紀後半の現代占星術の母体となった「神智学協会」も神を科学するという不思議なテーマを掲げた新興宗教団体です。

事実、霊媒師マダム・ブラヴァッキーが設立者の一人になっていて、代表者として率いていました。

その神智学協会の占星術ロッジ(支部)に所属したのが現代占星術の父とされたアラン・レオです。

《 “支配星”から共鳴星へ 》

ホロスコープを用いながら理論がなく、「占い」というジレンマに陥り、海王星の象意“混乱”を内包する占星術荷にならざるをえなかったのです。

それでも、双魚宮時代の末期20世紀までは、海王星の理論理屈を越えた“直観”(霊感)がはたらき、本物の占星術師を輩出するなど“夢”や“理想”(幻想)を伴ない、素晴らしく発展することができたのです。

ですが、“まだ見ぬ理想”という意味は、実現不能といった“幻想”を意味します。

人知れず起きた1989年の「宝瓶宮時代のビッグバン」によって、双魚宮時代が終わると、古い海王星の神通力は、次第に弱まっていくことになります。

唯一の希望だったのは、2009年から「双魚宮時代のリバイバル」のディレクションがはじまり、一時的な復活現象が起きたのですが、それも来年2023年3月頃には一段落していくことになります。

One-Point ◆ 宝瓶宮時代の影響圏において発見された土星外惑星の象意は、発見された際のエピソードに関連します。宝瓶宮時代の歴史パラダイム「共鳴関係論」からみてもそういえます。“支配/被支配”の時代は終わりましたので、今後は「共鳴星」に変わり、支配の意味はなくなっていきます。




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