宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しい西洋占星術―

「朝青龍引退」の運命をリーディング

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大相撲初場所に優勝して星のディレクションに負けた?

土俵の内外で数々の話題を振りまいてきた愛すべきヒール(悪役)朝青龍。
初場所中の泥酔暴行問題で横綱としての品位を問われ、突然の引退表明。
この出来事の一連の星の動きから、未来予測などをリーディングするときのノウハウの一端をご紹介しておきます。

●第1稿 : 2010年02月10日アップ

《 朝青龍の性格が引き起こした出来事 》

最初に、お断りしておきます。
この泥酔暴行問題は、彼のヤンチャな「個性」や、感情のコントロールが難しい「性格」に起因する要素が大きいために、ソーラーサイン・ハウスシステムで充分にリーディングすることができます。
『入門講座』にも書いたように、ソーラーサイン・ハウスシステムは、本人の「個性」や「性格」をメインに象わすために、「性格」に起因する運命的な出来事は、それで充分にみることができます。
もし、朝青龍の出生時間が明確であれば、もっと詳しいリーディングや解釈が可能ですが、ここに書かれた内容でも、よくご理解いただければ充分に事足りるでしょう。

まず、一連の問題の日時経過を簡単に紹介しておきます。
朝青龍明徳 1980年9月27日 出生時間不明 モンゴル・ウランバートル
2010年1月16日 午前4時ごろ、酒に酔って知人男性に暴行(全治1か月)。
2010年1月24日 大相撲初場所を13勝2敗で通算25回目の優勝を飾る。
2010年2月 4日 午後3時過ぎ、日本大相撲協会の理事会後に引退を表明。

One-Point ◆ 初土俵から25場所で横綱昇進=史上1位の早さ。連続優勝7場所=史上最多。年間84勝(平成17年)=それまでの最多記録(2009年、白鳳が塗り替えて現在は2位)。通算25回の優勝=史上3位。貴乃花引退後は、白鳳が横綱になるまで一人で角界を引っ張ってきたのは事実。朝青龍が強すぎたのか、周りが弱すぎたのか…。

《 サターン・リターンは「不幸」とは限らない 》

上に挙げたホロスコープの外側の円に書かれた星の位置が、引退表明をした2010年2月4日の星の位置です。
そこに青で書かれたのは、朝青龍が泥酔して暴行問題を起こした1月16日午前4時の時点の月と火星の位置です。
天秤宮の3度に太陽を持つ朝青龍は、大きく見ると現在、トランシットの土星と合(コンジャンクション=0度)、冥王星は下方矩(ロウアースクエア=90度)の星のディレクションのもとにあります。
今回の朝青龍の出来事を見て西洋占星術師や研究家の多くの人は、多分、「サターン・リターンだから起こった」というでしょう。
サターン・リターンというのは、出生時の土星の位置に、トランシットの土星が約29年後に戻ってくることをいいます。「サタリタ」と略されることもあります。
しかしながら、サターン・リターンが必ずしも「不幸」や「問題」を引き起こすとはかぎりません。
そういうホロスコープ(出生天球図)を持った人もいますので、確かに試練を受ける人もいますが、全員ではなく、ほぼ25%程度、人によって異なるというのが正解です。
西洋占星術師のレベル」にも書いたように本来、土星は「栄光の星」なのです。
しかし、本人に現実に通じる実力が伴っていない場合は、トランシットの土星のディレクションによって、トラブルや不幸と思える出来事が引き起こされます。
逆に、充分に実力を備えている場合には、「栄光」となって現われるのです。
実際、朝青龍が暴行問題を起こした時、初場所(1月10日〜24日)は25回目の歴代3位となる優勝を飾っています。
もう一人、スランプと騒がれたフィギュアスケートの期待の星・浅田真央選手は、韓国で行なわれたフィギュアスケート四大陸選手権で1月29日、逆転優勝を飾りました。
真央ちゃんは、1990年9月25日生まれ。天秤宮2度に太陽を持っています。
もちろん、朝青龍と同じように、土星と冥王星のディレクションを受けていた時期です。
この二人は、並外れた実力によって、土星のディレクションを活かし、共に優勝という「栄光」を勝ち取ったのです。

One-Point ◆ 出生時の土星の状態や、失礼ながらご本人の実力不足によって、サターン・リターンのときにトラブルや不幸と思える出来事に遭う方はもちろんいます。ホロスコープ・リーディングはケース・バイ・ケース、単純ではないので、「サタリタは不幸」と限定するのは間違いで、何でも思い込んでしまうと間違った占断に陥ってしまいます。

《 冥王星の下方矩(90度)のディレクション 》

では、なぜ朝青龍が今回、引退ということになったのでしょうか?
それは、冥王星の下方矩(90度)のディレクションに反した朝青龍の行動にあります。
冥王星は、レクチャールームの「未来予測リーディング:冥王星(非公開)」でも述べたように、「世俗の権力」や「深い霊性」を象わします。
一般に冥王星は、上方矩(アッパースクエア=90度)のときは「世俗の権力」として現われやすく、下方矩(90度)のときは「深い霊性」として作用しやすくなります。
『入門講座』にも書いたように、成長ステップからみれば、下方矩(90度)の位置は、(…購読者の便宜上、今回省略…)にあたります。
基本、精神的に生きることをうながします。
この星のディレクションのときは、自分の心理的な深層や霊性ともいうべき精神世界を見つめ直して、新たな内面的成長を図っていくべきときなのです。
浅田真央選手も、四大陸選手権の前の時期、かなりスランプで苦しんだことが知られています。彼女は苦しみながらも真面目に取り組み、精神的な成長を図りました。
それがフリーで3A(トリプルアクセル=3回転半ジャンプ)に思い切ってチャレンジし、並外れた実力もあって逆転優勝に輝いたのです。
では、朝青龍は、どうだったのでしょうか?
朝青龍は、現在、トランシットの冥王星から下方矩(90度)の星のディレクションを受けているにもかかわらず、精神世界をおろそかにし、逆に上方矩(90度)のディレクションともいえる「世俗の権力」をあらわす暴力行動を起こしました。
あれだけの人物ですから、今のままではよくないことは感じていたでしょう。
しかし、ヤンチャな「個性」や、感情のコントロールが難しい「性格」が、泥酔していたこともあって、冥王星のディレクションに反する「権力行為」出てしまったのです。
他の星ならともかく、宇宙意志の代理人である冥王星には、まず誰も逆らえません。
今回の暴行問題が、彼のヤンチャな感情を象わす「月」と、トランシットする「冥王星」のディレクションであることは、暴行問題を起こした1月16日午前4時、それによって引退表明をした2月4日午後3時の月と冥王星の位置をみれば分かります。

One-Point ◆ 水星のように、自分の意志で何とでもしやすいのディレクションもあれば、冥王星のように、どうあがいても抗いきれない星のディレクションもあります。基本、『入門講座』のリーディング・パターンに書いたように、太陽から遠い星ほど影響力が強いということです。

《 彼自身の共鳴星=金星の「美学」が裏目に 》

朝青龍のホロスコープ(出生天球図)をみると、獅子宮20度の金星と、蠍宮19度の火星は矩(90度)、月は出生時間が分からないために牡牛宮の3度から18度の間ですが、午後の生まれであれば、月と金星は矩(90度)、月と火星は衝(オポジション=180度)をとることになります。
天秤宮に太陽を持つ朝青龍にとって、金星は共鳴星であるために、ほかの星よりも彼自身に共鳴して強い影響力を象わします。
そのため、金星を中心にした月と火星のティ・スクエア(90・90・180)は、他の人に比べて、彼自身の感情や性格に大きな影響を与えます。
彼が暴行問題を起こした1月16日午前4時ごろ、トランシットの火星は、獅子宮15度にあって逆行中。出生時の金星と合(0度)のときでした。
トランシットの月は、そのとき水瓶宮0度を運行中で、朝青龍の共鳴星・金星も山羊宮26度、太陽も山羊宮の25度で、これらは三重合(トリプル・コンジャンクション=0・0・0)を形成していました。
この位置は、『入門講座』にも書いたように、朝青龍の出生時の太陽とスムーズな関係を結ぶ下三分(ロウアー・トライン=120度)です。それゆえ、朝青龍は彼自身が持つ出生時の月と金星に共鳴して、その象意が出やすくなります。
また、トランシットの火星も上に書いたように、出生時の金星と合(0度)をとっていたので、これらの共鳴が、彼の持って生まれた感情をコントロールしにくい「性格」を発揮させることになりました。

One-Point ◆ 三分(120度)に吉凶は関係ありません。西洋占星術がいうように「大吉座相」であれば暴行問題は起こらなかったはずです。そうではなく、「スムーズに関係を結ぶ=共鳴する」だけなので、もし吉凶で敢えていうなれば、三分(120度)は、大吉にも大凶にもなります。

《 それぞれの星の動きから日時を絞る 》

最後に、いつの時点で問題や出来事が起こるかのヒントです。
いくら星のディレクションを受けていても、ずーっと起こり続けるということはありません。複数のディレクションが重なったときに起きたり、星の象意は現われます。
現在、朝青龍にトランシットの土星や冥王星がディレクションを投げかけていても、土星のディレクションは、2009年9月(乙女宮23度)から2010年12月(天秤宮13度)まで1年以上も続きます。冥王星のディレクションは数年に及び、もっと長いのです。
そういった期間の中で、なぜこの時期に問題が起こったのかということです。
今回は、朝青龍の共鳴星である金星と、ヤンチャな月がかかわっていました。
暴行問題を起こした日時、出生時の太陽とトランシットの金星がスムーズな関係を結んで共鳴しやすい三分(120度)であったことは上に述べたとおりです。
一方、引退表明をした2月4日、金星は水瓶宮20度にありました。
出生時の金星と衝(180度)の位置です。
多分ですが、午後の生まれである朝青龍の出生時の金星を中心とする月と火星のティ・スクエア(90・90・180)と、トランシットの金星が、グランド・クロス(90・90・90・90)を形成していたときです。
しかし、これは約2週間続きます。この中で、なぜ暴行行為の結果を受けて、2月4日の引退表明になったのでしょうか?
他の星もみて複合的にリーディングしなければなりません。
今回は月です。当日の午後、理事会への呼び出しを受けてから引退表明の速報が流れた3時30分頃。このときトランシットする月は、天秤宮の23度にありました。
ちょうど、東の地平線上に蟹宮が上昇中(1時30分頃〜3時50分)で、月は第4室のIC(Imum Coeli イムン・コエリ=天底:北中点)付近にあって、朝青龍の出生時の冥王星と合(0度)をとっていました。彼の冥王星も、そのとき、IC(北中点)を通過しようしていたのです。
1月16日に暴行問題を起こしたときも、トランシットの冥王星に月が合(0度)をとったとき。すべて下方矩(90度)の位置に月と冥王星がかかわるときに起きています。
下方矩(90度)は、朝青龍の太陽にディレクションを投げかける現在の冥王星の位置と共鳴するためです。

One-Point ◆ 土星や冥王星などソーシャル・プラネットから年月を推定し、共鳴星の金星から週日を推定し、月から時間を推定できることが分かります。いつもこれらの星が運命に作用しているわけではなく、冥王星の下方矩(90度)のディレクションを受ける現在、朝青龍が金星や月の影響と共鳴するゆえに、今回はこれらの星をメインにリーディングができるということです。

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