宝瓶宮占星学 ― 今週の運勢を読むには ―
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●第1稿 : 2022年 3月 7日アップ
はっきり書きます。
“風の時代”というのは、占星学にはないウソですよ。
双児宮時代にも天秤宮時代にもつうじる茫漠とした“風の時代”という言葉を信じて、今後の「宝瓶宮時代」を生きぬけるとお考えなら、お好きにどうぞ。
紀元前に、ホロスコープ12サイン(宮)の基礎中の基礎「春分点」を規定する「春分点歳差」の発見のときから、「宝瓶宮時代という呼び名はあったのです。
基礎を知らない占術師が、“風の時代”を吹聴しているのでしょう。
2,000年以上も前のお話です。
古すぎて、どんな時代なのか、ピンときにくいかもしれません。
現代から順番にさかのぼって概括してみます。
現在の直前、300〜400年間ほどは、近現代物理科学(科学万能主義)の時代でした。
宝瓶宮時代の影響圏に入る前後からそれ以降あたりです。
合理的な科学思考や客観的な知性に人類が目覚めていった時代です。
その前の中世にいたる紀元から、1,600〜1,700年間ほどは、信仰による宗教の時代でした。
人類歴史をリードしてきた西洋では、古代オリエント(中近東)に発祥したキリスト信仰が、ローマに伝播し国教となっていったキリスト教(ローマン・カトリック)の全盛期です。
One-Point ◆ 2,000年以上前のお話といえば、さらにその前です。当然、近現代科学が発祥するはるか前で、さらにキリスト教の開祖となるイエス・キリスト生誕以前で、東洋ではブッダ(お釈迦さま)が生まれた直後あたりです。そんな古〜い時代のことです。
古代ギリシャ時代の当時に、最先端とされた学問が「四大元素説」です。
古代ギリシャといえば、「哲学」だの「フィロソフィー」(愛智)だのと言われますが、昨今の視点から当時を考えると見込み違いをします。
「占星学的な時代区分」でいえば、当時は双魚宮時代(そうぎょきゅう じだい)の影響圏に入っていたものの、紀元前24世紀あたりから続いていた白羊宮時代(はくようきゅう じだい)の末期でした。
白羊宮時代というのは、牡羊宮に共鳴する時代です。
たとえば、独りよがりになりかねない支配者(ルーラー)の考えによる「こうあるべき」というルールによる治世の時代でした。
そんなルールを定めて強制したのが、ルーラー(支配者、統治者)こと、戦いに勝った強者だったのです。
One-Point ◆ 現代占星術で、今も使われているカビくさい「支配星」という用語「ルーラー」はここからきています。白羊宮時代末期の古代ギリシャ時代、戦いで勝った「支配者」(統治者)の影響や概念が、まだ色濃く残っていました。そこで「四大元素説」をもとに発祥した古いアストロロジー(通称:古典占星学)において、「ルーラーは星」だと考えたのです。
白羊宮時代は、戦いで勝った強者の理不尽にもなりがちな、思い込みによるルール(今でいう法律)があったようです。
そんな時代に「なぜ?」「どうして?」また「どうあるべき?」と、正しいルールやあり方を思索し、論争してきたのが、いわゆる哲学やフィロソフィー(愛智)のはじまりだと考えられます。
そういった古代ギリシャ時代が、紀元前2世紀ころまで続きました。
そんなさなか、「そもそもこの世界は、何によってできているのか?」、そこからルールのあるべき姿を見出そうとしたのでしょう。
いずれにしても、「世界は、火/土/風/水の4つの元素からできている」と規定したのが、当時、最先端とされた古代ギリシャの世界観「四大元素説」でした。
One-Point ◆ なかには「そんなバカな。物理的にいうなら、元素記号1の水素にはじまり、100個以上も元素はある」と現代人ならお思いでしょう。また、直後にはじまった信仰者の立場からは、「そんな物質的なお話ではありません。この世を創られたのは神様です。アーメン」などといった宗教が、世の常識となっていった時代が古代ギリシャ以降、近現代科学の発祥以前にあったのです。
当時は、最先端で世界に影響を与え一世を風靡した「四大元素説」も、近年、科学が発達すると、“迷信”とされます。
客観的な実験をともなって、この世界を構成している元素が、次々と明らかになってきたからです。
そのことなどによって、古代ギリシャの「四大元素説」は、「疑似科学」とされます。
科学的な事実ではなく、人々に信じられたという点で、「疑似科学」は迷信と同様です。
その迷信を、今も真面目に信じて、占っている人たちがいます。
12サイン(宮)を「火/土/風/水」の4つのエレメント(要素)に区分して、それぞれに象意解釈をあてています。
そんな迷信をいまだにもちいる人の中に、“風の時代”などと、ホロスコープの12サイン(宮)の基礎中の基礎を、ご理解されずに吹聴している人がいるようです。
One-Point ◆ 笑ってはいけません。ご本人は大真面目です。ですが、“風の時代”というなら、双児宮時代(そうじきゅう じだい)も、また天秤宮時代(てんびんきゅう じだい)も“風の時代”になり、混乱が生じてしまいます。そうではなく、「春分点歳差」が発見された2,000年以上前から、正式に「宝瓶宮時代」という呼称があったのです。
ご説明いたします。
紀元前2世紀頃のことです。
古代ギリシャの天文学者また数学者のピッパルコス(B.C.190年頃-B.C.120年頃)は、地球の歳差運動から「春分点歳差」を発見しました。
その「春分点歳差」が、黄道を約25,920年(計算値)かけて1周する期間が「プラトン年」(グレート・イヤー)です。
そのプラトン年を12等分した「プラトン月」(グレート・マンス)が、「占星学的な時代区分」にあたります。
その一つが宝瓶宮時代で、当時から次は「宝瓶宮時代」と呼ばれていました。
「宝瓶宮」というのは、水瓶宮の古典的名称です。
One-Point ◆ 「春分点」は、約72年に1度ずつ移動しています。それにともなって、ホロスコープの12サイン(宮)の位置は、現在も微妙に変わり続けています。この基礎をおさえていないと、12サイン(宮)を正しく定められません。12サイン(宮)また「ホロスコープ作成ソフト」が正しいかどうか検証する基礎中の基礎です。
【ご参考】
一般のかたが「宝瓶宮時代」(Aquariun Age または Age of Aquarius)という言葉を知らなくても当然です。
人気のトレーディングカードゲームは、「Aquarian Age」(通称:アクエリ)で、綴りは「-an」です。
一方、宝瓶宮時代は「Aquariun Age」で、「-un」です。
いずれも「アクエリアン・エイジ」と読むので紛らわしいのですが、「-an」と「-un」」とでは意味が異なります。
それはともかく、占星師がホロスコープ12サイン(宮)の基礎中の基礎「春分点歳差」を知らないのはもぐりです。
それゆえ“風の時代”などと吹聴し、多くのかたを欺いているのでしょう。
もはや迷信とされた「火/土/風/水」を、いまだに信じて占っているくらい賢いからです。
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