宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しい西洋占星術―

ホロスコープ・リーディング
基礎から学ぶホロスコープ
第10回:アスペクトのダイナミズム

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本当にヤバイ! アスペクトの「吉座相・凶座相」解釈

十大惑星(メインプラネット)に触れたあとは、アスペクトについても書かなければなりません。正直、気が重いです。
アスペクトについて書くには、ます西洋占星術の「吉座相・凶座相」の問題点に触れなければならないからです。
「吉凶解釈」を根本から否定されたくない方は、読まないことをおすすめいたします。


●第1稿 : 2011年 2月 2日アップ

《 西洋占星術のアスペクト解釈は途上 》

ホロスコープ・リーディングのダイナミズムは、何といっても、アスペクトのリーディングにあります。
とはいえ、「吉座相・凶座相」という単純なアスペクト解釈では、そのダイナミズムを味わうことはできません。
また、「ハード・アスペクト」だけの未来予測も、同様です。
西洋占星術は、どちらかというと、「○○サイン(宮)や○○ハウス(室)に○○星があるときは…」といった占断に重きをおきます。
西洋占星術の前身である古典占星術がもともと、サイン(宮)やハウス(室)の象意解釈を探究してきたからです。
その証拠に、近年までの四角いホロスコープには、アスペクト・ラインがありません。
当時、アスペクトは度数ではなく、単純にサイン(宮)とサイン(宮)、またはハウス(室)とハウス(室)に星が入っていたときの位相といった大雑把なものだったと思われます。
いずれにしても、西洋占星術におけるアスペクト解釈は、いまだに研究途上といって間違いはありません。
そのため、どうしてもサイン(宮)やハウス(室)に星があるときの解釈に、重点をおかざるをえないのです。
ところが西洋占星術のハウス(室)解釈は、ハウス・システムからして、どれを用いるのが正しいのか未だ定まっておらず、ハウス(室)自体の解釈も、「西洋占星術のハウス解釈」でも書いたとおり、あまり当てにならないのです。
ほとんどが拡大解釈か誇大解釈です。
加えて、アスペクトも単純な吉凶解釈なので、西洋占星術の限界がここにあります。

One-Point ◆ 誤解しないでいただきたいのは、ここは「占星学研究」のページです。占断やリーディングのレベルや内容を深めていくためには、まず問題点に気づくことが第一です。それをうまく避けたり、解決していくことによって、レベルアップが図れます。


「金星」自体の象意は変わらない

●なぜ、かつて金星は「凶星」と解釈されたことがあるのでしょうか?
白羊宮時代、戦いの星・火星と共鳴する時代にあっては、金星は正反対の「柔弱」を象わします。
双魚宮時代、キリスト教など厳格な修道生活の場にあっては、金星は「怠惰」や「華美」を象わしますから、忌むべきものです。
当時、主流のラテン語では、金星は悪の堕天使を表わす「ルシファ」と呼ばれていました。
古典占星術の時代のお話です。
英語が主流となった現代では、金星は美の女神「ビーナス」です。
西洋占星術と共鳴する海王星は、「芸術」を象わす星でもありますので、「美意識」や「快楽・贅沢」を象わす金星は「吉星」とされたのでしょう。
金星自体の象意は変わらなくても、時代や状況で「吉凶」が変わるのですから、もともと星自体に「吉意・凶意」はありません。
宝瓶宮時代は、とくにそうなります。

《 西洋占星術のウイーク・ポイント 》

かつての双魚宮時代には正しかった解釈も、これからの宝瓶宮時代では、間違った解釈に変わってくることがあります。
一時期の古典占星術においても、金星は「凶星」として扱われていましたが、昨今の西洋占星術では「吉星」として解釈されているのも、その一例です。
今日の西洋占星術のウイーク・ポイントであり大きな勘違いが、この「吉凶解釈」にあることは、もはや間違いのないところです。
「吉凶解釈」の代表は、やはりアスペクトの「吉座相・凶座相」です。
正直に書きますが、1989年の「宝瓶宮時代のビッグバン」以降、いつまでも「吉凶解釈」を続けていると、間違いなく「運勢」を落とします。
「運勢」という言葉がピンとこなければ、キツイ表現になりますが、「人格」や「霊性」の成長に齟齬(そご)をきたします。
単純に「吉凶」で判断し続けていると、次第に物事の判断や見方がおかしくなっていくのです。
そういったプロの西洋占星術師やアマチュアの方は、案外と多いはずです。
なぜ、おかしくなっていくのかというと、単純な善悪や吉凶で世の中が動いているわけではないからです。
また宇宙の究極真理にもマッチしません。
究極真理に適さなくても、今の現実に適していれば、「過り」とは断定できませんが、見えない真理にも、また現実社会にも当てはまらない判断は、「過り」といいます。
誰でも、大なり小なり、過った考えや判断をすることはありますが、間違いに気づけば改めていきます。
一部の西洋占星術のように、我知らずでも信じて、改めることなく意図的に「吉凶解釈」を続けていると、気づかないうちに「運勢」が下がってしまうのです。
そんな西洋占星術師の「吉凶占断」を信じて、受け入れていくのも同様です。
むやみに信じると、かえって運勢を下げかねません。

One-Point ◆ 宇宙の究極真理、すなわち宇宙存在世界には「悪」や「凶」はありえません。人間社会の中にまで、まったくないとまで言い切るつもりはありませんが、それは例外です。本来はない「悪」や「凶」を意図的もしくは恣意的に作り出して、言い募ったり、信じ続ければ、自ら「凶運」を背負い、「悪運」にとりつかれてしまいます。それが宇宙の共鳴法則です。


英語では何というの?

●アスペクト(Aspect)
西洋占星術では「座相」と訳されます。
英語の意味は、「局面」です。
一つの局面を象わすのが、アスペクトだということになります。
●吉座相・凶座相
もちろん訳語です。
すでにご存じだと思いますが、
前者は、Easy Aspect=イージー・アスペクト、または、Soft Aspect=ソフト・アスペクト。
後者は、Difficult Aspect=ディフィカルト・アスペクト、または、Hard Aspect=ハード・アスペクトです。
日本語ほど極端ではないとしても、英語もやはり対比的なネーミングです。

《 「吉凶解釈」が必要だった時代 》

念のために、なぜこれまでの時代は「吉凶解釈」が必要だったのか、その理由を書いておきます。
2,000年以上も前の白羊宮時代、基本、「倫理」や「道徳」は存在しませんでした。
敵とは戦い、相手を滅ぼし、自ら生き残ることが「善」だったのです。
それが紀元前400〜500年頃、双魚宮時代の影響圏に入るとともに、洋の東西に現れたのが、孔子であり、釈迦であり、双魚宮時代に入っては、イエスです。
彼らは、「倫理」や「道徳」といった人の倫(みち)を説きました。
分かりやすくいうと、何が「善」で何が「悪」か、倫理基準や道徳基準を人々に説いたのです。
さらには、「善」を行なうとご褒美があり、「悪」を行なうと罰が下ることを説きました。
それが「浄土と穢土(えど)」や「天国と地獄」といった「後」の世界のお話です。
それほど人類全体の人倫規範が幼く、レベルは低かったのです。
そのような聖人らの教えと実践によって、双魚宮時代の約2,000年の間、紆余曲折を経ながらも、人類全体の倫理レベルや人格レベルは上がってきました。
それによってもたらされたのが、個人の自由と権利、平等と尊厳を旨とする自由民主主義です。
そういった自由民主主義の世界においては、単なる「善悪規範」にとどまることなく、次のレベルに向かわなければなりません。
テーマとは別のお話になってしまいますが、それが現代日本人の特別な使命であって、すべての存在は「共鳴」によって存在し、運営されているという、宝瓶宮時代の新しい真実や価値観につながっていくものです。
新しい人類文化歴史のパラダイムがここにあります。

One-Point ◆ 「吉凶解釈」は、「あなたには、まだ自分の頭や意志で行なう自由は早い。善と悪の倫理基準が必要なレベルだよ。それに従ったら”運が良くなる”よ」と言っているようなものです。学童以前の幼児扱いをしているのと同じなので、そうやって、お互いのレベルを下げたり、発展性を妨げることはありません。本当に高い感性や精神性を身につけた人なら、しぜんと吉凶判断の西洋占星術とは合わなくなり、次第に一歩か二歩、距離をおくようになるものです。

《 我知らずに心身を傷つける!? 》

私事ながら、「宝瓶宮時代のビッグバン」以後、宝瓶宮占星学への移行に気づいたとき、「吉凶解釈」をやめるのに、頭を使いました。
脳にインプットされた「吉凶解釈」は、ホロスコープを見ると、もはや習慣的な思考となっていましたので、意識的に変えざるをえなかったのです。
ですから、長いこと「吉凶解釈」の西洋占星術を行なってきた人ほど、その見方を変えることは大変でしょう。
変えるなら早いうちがいいのです。
解釈を変えるのも大変ですが、もっと大変なのは、物事のとらえ方や見方が、対立的な「善悪」や「吉凶」など、単純な二元論や低レベルな判断に、知らないうちに染まってしまうことです。
それほど、「吉凶解釈」は、我知らずに心身を傷つけます。
私の尊敬する西洋占星術師のルル・ラブア師も、例にもれず「吉座相・凶座相」という解釈をしています。
あまり良い結果は生みません。
宝瓶宮占星学の基礎理論を確立したとき、いちばん最初に理論を伝えたかったのは、ルル・ラブア師でした。
所在を探しましたが、21世紀を待たずに、逝去されていることを知って、なぜか涙が出ました。
星の言葉を読むことや、人類や占星学における真摯さにおいては、ルル・ラブア師を高く評価していたからです。
しかし、「吉座相」や「凶座相」はいけません。
それだけではなく、意識や人格レベルを下げます。
さらには「魂」を傷つけます。霊性が高ければ、逆に身体が傷つくことになります。
皆様も気をつけなければなりません。

One-Point ◆ 宝瓶宮占星学の基礎理論をルル・ラブア師に伝えて、西洋占星術と宝瓶宮占星学を融合させた新しいマスターとして広く伝えてほしかったのです。もはや、その願いはかないません。それゆえに、一から築き上げなければなりませんが、「実学」としての占星学に高めて、現実社会に役立つものにすることが、『占星学の見方』を上梓した師への恩返しです。


象意の強いものだけで充分

●どんな占星要素もそうですが、より大きな影響力を持つものと、そうでないものがあります。
星は、十大惑星(メイン・プラネット)が重要です。
アスペクトは、5つのメジャー・アスペクトが重要です。
これらをまず、正しく理解しないことには、リーディングになりません。
そういった基礎(ベース)をあやふやにしたまま、小惑星やマイナー・アスペクトに意識を奪われても、仕方がありません。
「木をみて森を見ず」のミス・リーディングに陥ってしまいます。
メイン・アスペクトを正しく理解しても、適用できないもので影響力が強いのは、Yod(ヨッド=150・150・60)と、ミューチュアル・リセプションのみといっても過言ではありません。

《 アスペクトのダイナミックな動き 》

ホロスコープ作成ソフトなどで、ホロスコープをアニメーションさせてみた方ならお分かりだと思います。
時間の経過とともに、アスペクト・ラインが刻々と変わっていきます。
サイン(宮)と星は、ほぼ一緒に動きますので、あまり変わらないのですが、地球が基準ゆえに動かないASC(Ascendant アセンダント=上昇点)やMC(Medium Coeli メディウム・コエリ=天頂:南中点)など、基本点(Angle アングル)や、さらには動きの早い月によって、アスペクトがダイナミックに変化していきます。
水星や金星や太陽などのパーソナル・プラネットが、それに続きます。
木星以遠のソーシャル・プラネットどうしは、比較的長く続くアスペクト・ラインをもって回転していきます。
そういった動きを見ていると、刻々と姿を変えていくアスペクトを、いかに正確に読み取るかが、ホロスコープ・リーディングの醍醐味だと分かります。
アスペクトは、影響の大きな5つのメジャ・アスペクトに加えて、特殊なアスペクト・パターンであるYod(ヨッド=150・150・60)とミューチュアル・リセプションさえ、象意を正しく理解すれば、それだけでも充分です。
大十字(グランド・クロス=90度×4)や大三角(グランド・トライン=120度×3)など、多くのアスペクト・パターン(複合アスペクト)は、衝(オポジション=180度)や三分(トライン=120度)や矩(スクエア=90度)など、メジャー・アスペクトの基本象意を正しく理解していれば、応用がきくものです。
マイナー・アスペクトは、さほど象意が強くないので、ほとんど無視してもかまいません。
マイナー・アスペクトに右往左往させられてしまうほど、人間の自由な意志はヤワではないからです。
もし、マイナー・アスペクトまで読んで伝えなければならないほど、自分で意志判断ができない意志の弱い人であれば、メジャー・アスペクトの影響は、2倍にも3倍にも強く受けてしまいます。
であればマイナー・アスペクトよりも、メジャー・アスペクトを伝えることのほうか、はるかに重要になるのです。

One-Point ◆ 皆様がどうしても西洋占星術の「吉凶解釈」をしたいというのであれば、それは皆様のご自由です。その責任や結果は、ご自分で受け取るだけなので、それも成長のプロセスだったり、勉強だったりします。もし、「吉凶解釈」を続けていて、何か気になりはじめたら、ここに書いたことをご参考にしていただければと思います。
☆宣伝ですが、西洋占星術の象意解釈を副読本にして学ぶ、『西洋占星術と宝瓶宮占星学によるホロスコープ・リーディング入門講座』には、アスペクト解釈やハウス解釈の理解が分かりやすく書かれています。



※次回も「アスペクト」について掲載予定です。



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