宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しい西洋占星術―

それでもトランプは“正しい”
― その1:アメリカ治療と再生 ―

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「トランプで世界はどう変わる?」の第3弾となるものです。
現実の世界政治は、「歴史ディレクション」とともに動いています。
そこからアメリカを見たとき、トランプは“正しい”といえるのです。

反トランプの“米マスコミ情報”に煽動される日本のマスコミ

↑ 大統領就任式で談笑するオバマ前大統領と、トランプ新大統領。


●第1稿 : 2017年 2月 6日


※近日中、もしくは第2弾をアップした段階でリライトする可能性があります。

トランプの大統領就任演説は、部分的ながら「共産主義」とみまごう一面がありました。
その内容は各自でご覧いただくとして、マスコミが報道する“トランプ”のイメージを捨てて、事実からのみトランプの政策と閣僚人事をみてみましょう。
すると、そのほとんどが現在の「アメリカ」と「自由世界」の秩序維持に必要な“当然”なものばかりです。

《 アメリカの「天命」 》

まず、占星学的な観点から「アメリカ」と「世界」の現状を振り返っておきます。

アメリカは、占星学的にみたとき「射手宮」を“民族性”とし、「水瓶宮」を“国体”とし、「蟹宮」を“現体制”とします。

ことの詳しいご説明は、2006年にアップしておきました「日本は何座宮?」をご高覧ください。

それが、何を意味するのかと申し上げますと、サイン(宮)の配置から、アメリカは宝瓶宮時代における特殊な「天命」をもつ国家だとわかります。
それは自由で寛容な一面をもつと同時に、自国の防衛はもちろん「世界の自由民主主義体制を守る」というか、そうせざるをえない否応ない運命(宿命)です。

これがアメリカ建国の“秘密”なのです。

少し、理由をみてみましょう。
イギリスを脱出したピューリタン(清教徒:キリスト教)らによって、18世紀にイギリスとの独立戦争を戦って建国された新興国家「アメリカ」は、なぜ昨今のように世界第一の国家になったのでしょうか。

それは建国の精神もそうですが、世界の自由民主主義を守るという「天命」に、宝瓶宮時代への時代の流れにともなう「天運」(時代のディレクション)がはたらいたためです。

「天運」というと、なにか理解できない“信じるか信じないかはあなた次第”といった不思議系のものに聞こえるかもしれません。

ですが、宝瓶宮占星学では、明確に「時代の流れと共鳴するもの」と定義づけています。

要は、時代がどのような方向にむかって流れ進んでいくのか、それをホロスコープからリーディングできれば、「天運」の方向がわかってきます。

そうみたときに、アメリカを象わす3つのサイン(宮)は、宝瓶宮時代の方向に否応なく向かい守らざるををえない働きをもつゆえに、これを「天命」と呼ぶことができます。

ちなみに、戦後の「日本」は「天運」を持ちますが、ここでのご紹介は省略させていただきます。

いずれにせよ、アメリカが建国後、わずか200年前後で世界第一の国家に政治、経済、軍事などの面でなったことは事実です。

しかし、オバマが不用意に語った「天命」を放棄しかねない発言、すなわち「アメリカは世界の警察官でないことに同意する」といった内容は、そのとたん、アメリカは天運を失いはじめ、弱体化するばかりではなく、世界の自由の秩序が崩壊の危機に向かうことを意味します。

One-Point ◆ ただ念のために書いておきますと、最終的に「自由の秩序」が崩壊することはありません。なぜなら、もはや宝瓶宮時代だからです。さらには、国体を「水瓶宮」とし「天運」をもつ日本との同盟関係をアメリカが維持するかぎり、世界の自由の秩序は継続できます。気になるのは、むしろオバマの今後です。人柄はよいのでトランプの邪魔をすることはありませんし、今すぐどうこうということはないのですが、オバマの発言によってもたらされた現状を、トランプや世界がカバーできなければ、数十年後の運勢が危惧される可能性が残ります。


●「共産主義」と海王星

20世紀に吹き荒れた世界共産主義武力革命の嵐は、宝瓶宮時代に生まれた方はあずかり知らぬことです。
なぜなら、共産主義国「ソ連」の崩壊(厳密には東西冷戦の終結)とともに、1989年から正式に宝瓶宮時代がはじまったからです。
「共産主義思想」の発端は、マルクスとエンゲルスの『共産党宣言』の出版によってです。
初版は、1848年2月21日に発行されていますが、これはトランシットの海王星と太陽が同時に魚宮に正式入宮したときです。
それ以前、海王星が魚宮の影響圏に入った1846年に、海王星は発見されています。
海王星は、「神秘主義」(スピリチュアリズム)も象わしますが、その一方で「共産主義」の“理想的社会主義”の側面を象わします。
その共産主義が、レーニンらによって武力革命路線をとり、現実に共産主義革命を起こす道筋をつけたのは、海王星だけでなく、トランシットの冥王星が蟹宮や獅子宮を運行するディレクションによってもたらされました。

《 オバマの致命的ミス 》

すでに多くの識者が気づき、指摘してるように、「世界の警察官を辞める」といった旨のオバマの発言以降、世界の自由の秩序が壊れつつあります。

俗称「イスラム国」というテロ組織の台頭、ロシアのクリミア併合、中国の両シナ海への軍事侵出がその三大代表例です。

ことの発端は、シリアに対して、オバマ大統領(当時)が「化学兵器の使用は軍事介入も考慮される」(8月)と発言し、実際、化学兵器(サリン)を使って無差別に反対派の自国民を虐殺していることが明らかになったにもかかわらず、翌9月には「アメリカは世界の警察官ではない」旨、発言して前言をひるがえします。

一般人やふつうの国家の元首ならかまいません。
しかし、大国の元首、とくにアメリカ大統領の発言としては致命的ミスで、“大統領失格”です。
なので失礼ながら、思わず「オバマはマヌケ」と当時、書いてしまいました。

戦いの常識を知っていれば、「“レッドライン”を超えたら分かってるだろうな」と相手を脅しておきながら、相手がレッドラインを超えて化学兵器を使ったら、何もしないどころか「そんな“立場”(警察官)じゃない」と逃げるようでは、「ンなら、最初から出しゃばるな」といわれてもおかしくないのです。

これをみて、かつて「東西冷戦」でソ連を打ち負かし、世界1強を手にしたアメリカに、もはや昔日の“覇気”はないことを知った、それまでおとなしく“法”を守っていた“無法者”たちが、わがもの顔に暴れはじめたのです。

その中でも、まだロシアの“クリミア併合”は「盗人にも三分の理」ではありませんが、しかたのない事情があります。
しかし、自称「イスラム国」や、“世界の自由の海はオレのもの”とばかりに軍事力を行使した“シナ・ファースト”の中国に三分どころか一分の理もありません。

これらに対してもオバマ大統領は、結局、有効な手を打てませんでした。
そのため中国は南シナ海の軍事拠点化をすすめ、ますます支配を既成事実化している現状です。

トランプは、このような「アメリカ」と「世界」の現状に対して、「アメリカ・ファースト」を掲げ、国民の支持をえて大統領に当選したのです。

トランプいわく、「ワシントン政治」も「大手マスコミ」も腐っています。
中国ロビーにとりこまれた「ワシントン政治」も、同様にねつ造報道をする“反トランプ”の「大手マスコミ」も“病気”にかかっています。

オバマ政治による現在のアメリカは、「天命」を果たせなくなりつつあります。

自然治癒も期待できない以上、“病人”には医者が必要です。
たとえ副作用の可能性があっても、“薬”が必要なのは当然なのです。

それが、少々、荒療治だったとしても、また副作用の可能性が残るとしても、今のアメリカを“治療”し“自由の秩序”を正常に戻さなければ、今後、日本はもちろん、世界が危機に瀕することになりかねません。

One-Point ◆ 昨今は、海王星が魚宮をトランシット中です。アメリカと自衛隊に守られた“平和”な日本が「スピリチュアル・ブーム」や「アイドル・ブーム」にわくのはまだよいとしても、アメリカが海王星の影響を受けて観念的な「理想主義」に流れ、オバマのように現実政治を無視して「善意」でのみ国際情勢に対処すれば、「天命」の放棄につながります。それは「共産主義の亡霊」の復活を招くのです。世界を20世紀の混乱に再び戻してはいけません。事実、「共産主義」(『共産党宣言』1848年2月21日初版)は、1846年の「海王星」の発見と、「海王星」と「太陽」が同時に魚宮に入宮したことよってもたらされた「歴史ディレクション」だからです。


《 “ドクター・トランプ“” 》

上述の“人情的”な海王星のディレクションにもとづいて、合理的でクールなトランプをみれば、理解しにくい非人道主義者にみえます。

なぜなら、トランプは海王星と共鳴する「魚宮」からみれば、矩(スクエア=90度)の位置関係にある「双子宮」の生まれ(太陽)で、さらには潔癖で合理主義の「乙女宮」といってよいほどの獅子宮29度のASC(Ascendant アセンダント=上昇点)を生まれもっているからです。

そのクールなトランプからみたとき、アメリカは異常でいわば“半病人”なのです。

かつて「アメリカがクシャミをすれば日本がカゼをひく」といわれました。
そのように日本はもちろん、世界が影響を受けて、アメリカによる自由の秩序が壟断(ろうだん)されつつある「初期症状」の現状です。

オバマがもたらしたそのような現状をみて、「勝つ」とは考えていなかったようですが、“アメリカ・ファースト”を訴えるだけでも、大統領選に出る意義があると考えて出馬したようです。

軍隊経験も政治経験もないトランプは、当初、すぐに消えていく“泡沫候補”と大手マスコミからいわれました。
トランプのホロスコープ(出生天球図)をリーディングすればわかりますが、ふつうとは異なり、困難があるほど、また反対が多いほど、ますますファイトをかきたてられて、やる気を出していく、負けん気の強い闘争的な一面を持ちます。

さらには、“クリントン・ニュース・ネットワーク”と揶揄されたCNNがら選挙当時も昨今も、“暴言王”とはやしたてられるなど激しいバッシングを受け、ますますファイトを燃やしていったことでしょう。

結局、トランプは、現在のアメリカの「天命」にそった“アメリカ・ファースト”(強いアメリカ)を訴求したために、「天運」をえて奇跡的に勝利します。

ことばを変えていえば、トランプは“病気のアメリカ”を「んちゃ!」とばかりに一刀両断に大手術を施す「Dr.スランプ アラレちゃん」ならぬ「ドクター・トランプ」だと表現できます。

多少の荒療治の感もあり、副作用の可能性もなくはないのですが、それらはまず強いアメリカと世界の秩序を取り戻してから、手当てしても遅くはありませんし、根本を治療すれば治っていくものもあります。

要は、根本の“病因”を取り除く治療が先決であると考えれば、トランプの必要性が理解できるのです。

そういった点からみたときに、現時点のアメリカにおいては、多少の副作用はあるにしても“ドクター・トランプ”の政策は“正しい”のです。

日本のように「民度」が高い国や民族に対してなら、また世界に自由の秩序が安定的に保たれている将来なら、オバマのヒロシマ訪問のような“善意”は世界平和に貢献します。

しかし、冷厳な世界の現実をみた場合、中国や自称「イスラム国」のような“無法者”にオバマのような“善意”が通用するのなら、自称「イスラム国」はテロをやめ、「中国」は軍事覇権侵出をやめて、世界はとっくに平和になっています。

One-Point ◆ ちなみに「Dr.スランプ アラレちゃん」は、1980年代に大ヒットした人気アニメです。主人公の人間型ロボット「アラレちゃん」こと則巻アラレが、「こんにちわ」といったあいさつのかわりに使ったアラレ語の一つが「んちゃ」です。ですが、「んちゃ〜!」と吐き出すエネルギー波(んちゃ砲)は、地球を真っ二つにするほどの威力をもっています。“ドクター・トランプ”の“んちゃ砲”はどうでしょうか。


《 マスコミこそ大衆迎合主義 》

ここで、少し視点を変えて書いておきます。
トランプの「マスコミ嫌い」は有名です。

というか、大統領選挙のときに、“クリントン・ニュース・ネットワーク”といわれたCNNをはじめとした米マスコミが、トランプを“暴言王”と書きまくり、クリントン候補が勝利するように一方的に援護し、トランプに敵対して、あたかも“非人道的”な候補者のようなイメージを植えつけたのが要因です。

日本のマスコミは、緻密にアメリカ取材をすることなく、CNNなどアメリカのマスコミ情報にそった取材報道にとどまり、結局は「反トランプ報道」を受け売りして、垂れ流しているだけなのです。

なぜなら、トランプほど“面白いネタ”はありません。
そのほうが読者や視聴者のくいつきがよく、いわば“視聴率”が稼げるために、大手マスコミは正しいトランプやアメリカや、世界の現状を交えて報道しようとする気概はありません。

それでなくても、ネットに押され、売り上げは下がり、視聴率は落ちているために、“視聴率”が稼げれば何でもありの状態になっています。

当然、新聞しか読まない購読者や、テレビしか見ない視聴者は、ほかに情報源がないために偏ったトランプのイメージを信じるしかありません。
それだと“事実”がみえなくなります。

それくらい昨今の大手マスコミはひどいので、客観的な“ファクト”(事実)だけをご自分ピックアップしていくか、ネットの玉石混交の情報を交えて、鵜呑みにせずに、ご自分で考えて判断していくしかありません。

日本のマスコミは、トランプは“暴言王”だとか、マティスは“狂犬”だとか、センセーショナルに“レッテル”を貼って報道したほうが、信じやすい読者や視聴者には受けるので、調査や取材をしても、わざとそうすることがありますが、この“レッテル貼り”は、共産主義者や反日主義者がお得意とする手法です。

そのようなマスコミの姿勢こそ、“報道”ならぬ「大衆迎合主義」であり、また「大衆煽動主義」です。
読売新聞などはポピュリズムを“大衆迎合主義”と訳して書きますが、いくら自社の“ドン”が何年か前に『反ポピュリズム論』を出版したからといって、自社のTOP(権力)に迎合せずに、まともなマスコミ人なら「ポピュリズム=大衆迎合主義」ではないことぐらいすぐにウラがとれるのでわかるはずです。

朝日のいわゆる“慰安婦ねつ造報道”といい、読売の“ヒラメ報道”といい、マスコミは「事実の報道」とか、「真実の報道」というのは、ネットで検証できる現在、もはや幻想でしかないことがみえています。

同様に「トランプ=暴言王」、「大統領令=非人道的」と決めつけるのは、実際にはトランプの大統領令にアメリカ国民の半数が賛成していることからも、正しい報道ではなく、アメリカの偏った「マスコミ情報」のみをとりあげて視聴率稼ぎに面白おかしく垂れ流しているだけの“エンターテインメント”と化しているとしか思えません。

事実、日本でも経済人をふくめた仕事柄、世界の現状を把握しているレベルの人たちは、案外とトランプを“支持”しています。
また“支持”まではしていなくても、もう少し結果がみえてくるまで判断を“留保”している客観的な人が多いのです。

One-Point ◆いくら「自由の国」アメリカに対してだからといって、「内政干渉」をしてよいといったお話にはなりません。占星学的にみて、現体制を「蟹宮」とするアメリカは、世間の評判を気にする一面をもつタイプなので、オバマのように世間体ばかりを気にして、外交判断を間違えると、ときに民族性「射手宮」の寛大な陽気さも、国体「水瓶宮」の自由やアメリカらしさも失い、国家にも世界にも歪みが生じていくことになりかねません。


●「WASP」の国、アメリカ

今は、「WASP」だからと特別視されることはありません。
なぜなら、建国の精神に反し、人種差別につながるとして、自粛されているためです。
事実、ケネディは「カトリック」でしたし、オバマも「黒人」でした。
そういったアメリカの「理想」を逆手にとって、自由と多数決の民主主義の名のもと、一部の移民や不法移民によって、アメリカの治安と平和は、脅かされつつあります。
今、アメリカが混乱したり、パワーを失えば、それこそ日本の安全と暮らしはもちろん、昨今の状況をみてのとおり、世界の平和と秩序は維持できなくなってしまいます。

《 アメリカは「移民の国」? 》

もう一つ書いておきます。
さきごろニュースで、「アメリカは移民の国だ」というどこかの国の人の発言が何度も流されていました。

本当に?

純粋なアメリカ人が自らをそういうならともかく、移民側が「アメリカは移民の国」だというのはスジがとおりません。
要は、アメリカは移民の国だから、「一時的とはいえ移民を制限する大統領令はおかしい」ということを言いたいようですが、どの口が言っているのやら。

考えれば分かることですが「移民」の国などありえません。

今は自粛して使わなくなりましたが、アメリカは「WASP」が建国した国です。
その建国の精神にもとづいて、「自由」をうたい、各国の「移民」も受け入れ、「アメリカ国籍」の取得も比較的容易にできるようにして、結局は「人種のるつぼ」と化してきました。

しかし、今、そのことがアメリカの治安を悪化させ、さまざまな犯罪の温床の一因になっていることも、善良で有益な移民の方々には気の毒ですが、事実です。

メキシコとの国境もそうですが、今や麻薬の密輸ルートとなっており、それが輪をかけてアメリカの治安と秩序を崩壊させつつあります。
要は、そんな「不法移民の“自由”」や「犯罪の“自由”」などは、どこの国もいりません。

トランプは、言葉を飾りオブラートに包んで失言を避けようとする政治家とは異なり、ホロスコープ(出生天球図)をみても「バカ正直」で、わかりやすく「過激でストレート」な表現をするので誤解されやすいタイプですが、「根にもつ」ことは少ないサッパリしたところもあるタイプです。

ただ、みてもお分かりのように、こうあるべきといった信念をもち、闘争的な一面もありますので、客観的な事実を示さず自分を非難するマスコミなどの相手に対しては、歯に衣着せずに辛らつな言葉を投げかけることがあります。

そんなトランプなので、「メキシコとの国境に壁をつくる」とか、審査基準を整備するまで特定の国からの移民を一時的に「入国制限や禁止にする」といった一見、過激にみえる発言をしますが、その現実や根拠をよくみれば、報道やイメージに反して案外と理になかっており、まともなものが多いのです。

One-Point ◆ ちなみに、「WASP」というのは、最初に新天地を求めてイギリスからアメリカ大陸にわたってきた「ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント」(White Anglo-Saxon Protestant)のことです。要は、白人でキリスト教徒(清教徒)のことです。彼らがイギリスと戦って独立を勝ち取り、「アメリカ」を建国しました。そのため彼らを「移民」と呼ぶのは間違いです。その後に受け入れた「移民」と同列に扱うのは、国家アイデンティティーを失わせる矛盾が生じます。事実、建国からしばらくは「WASP」の出身でなければ、アメリカ大統領にはなれませんでした。


《 サイレント・マジョリティー 》

ついでに、もう一つ書いておきます。

日本の首相や首長はもちろん、選挙に当選後、政治家が選挙期間中に語った公約を「実行」しなければ、一票を投じた有権者はどう感じるでしょうか?

「ウソつき」「サギだ」、当選するために「国民をダマした」「信用できない」と考えるでしょう。

アメリカも同様です。
それゆえトランプは、当選したら「選挙公約」を実行しなければなりません。
司法や議会によって「ストップ」がかかってもいいのですが、それを見越して公約を「実行」するのは、当選者として当然です。

そういった第三者機関の反応もみて、判断しつつ、必要なものは「実現」に向けて推し進めればいいのです。

第一、トランプは、オバマのように無様なマネはしたくないのです。
アメリカ大統領の権威と信用にかけて、言ったことは必ず実行しようとします。

上述したように、平たくいえば「化学兵器を使えば攻撃するゾ」と脅しておきながら、翌月には、前言をひるがえして「そんな立場にはない」では、オバマは自分の評価を気にしてわが身を守っただけで、アメリカ大統領の権威や威信にキズをつけたのはもちろんのこと、世界に混乱をまねいただけなのです。

要は、「弱腰」や「言うだけ番長」と揶揄されたオバマ前大統領の「有言不実行」のあとのアメリカの弱体化と、世界の混乱をみてきたトランプ新大統領は、そのようなマネは避けたいのです。

「アメリカ・ファースト(強いアメリカ)宣言」のもと、数々の非人道的にもみえる「公約」を掲げて予備選を勝ち抜き、ヒラリーとの本選にも勝ったトランプは、その「公約」を実行するための大統領令に署名するのは、当選者としては常識でごく当然のことです。
もし、トランプの公約が間違いであれば、“サイレント・マジョリティー”であるアメリカ国民はトランプに投票していないのです。

ただ、マスコミという名の一部のかまびすしい“マイノリティー”が、“反トランプ報道”を垂れ流すので、一部の大衆が煽動されて、反トランプのデモ行動を起こしたりしますが、デモの主導者は“別”にいます。

民主主義を理解している真のアメリカ国民は、自分の意とは異なっても、選挙で選んだ人物に対して暴動まがいのデモ行動をとることはありません。
近隣のかの国々とは異なるのです。

なので、反トランプのデモは、彼らがアメリカにふさわしくない民主主義を理解していない人々か、あるいは特定の国家や政治信条をもった反トランプの立場の人々か、デモに乗じた単なる暴徒です。

One-Point ◆ オバマとトランプは、トランプの失言のせいでもありますが親密とはいえないかもしれません。しかし、大統領選挙のあとでは、お互いに労をねぎらう民主的な人物どうしです。どこかの国の元首相のように、「政権交代」を成して、敗れた自民党本部に行ったものの、自民党総裁から差し出された握手の手を拒否する頭がお花畑レベルの人物とは異なります。アメリカの「反トランプ」のマスコミが煽動する情報だけでトランプを判断すると、その閣僚人事や委任の仕方をみてもいいのですが、自分の力量を理解して適切な判断が多く、案外とまともな人物だったりして、見方を間違うことになります。



※次回は、トランプの「大統領令」はほんとうに間違いなのか、その検証と“狂犬”と訳されることのあるマティス国防長官、またNSCの常任メンバーにも就任したスティーブン・バノン大統領上級顧問 兼 首席戦略官とトランプの驚くほどの相性などをご紹介いたします。




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