宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しい西洋占星術―

アスペクトの日本語表記
―西洋占星術の慣用と例外―

HOME今週の運勢1今週の運勢2 > アスペクトの日本語表記

アスペクトの日本語表記を書いておきます。
「今週の星の動き」などでアスペクトを日本語で表記しているためです。

西洋占星術にダイナミズムをもたらすアスペクト

ホロスコープ・リーディングを続けていると分かると思いますが、どのサイン(宮)やハウス(室)にどんな星があるかということよりも、星や占星点(Astrological Point)が、どんなアスペクトを取っているかということのほうが、一般にダイナミックで象意が大きいものです。

●第1稿 : 2009年6月27日アップ

●文明開化はCivilization

明治維新の「文明開化」は、西洋文化を積極的に取り入れることですが、その西洋文化は、民主主義や文民主権を意味しています。
「文明開化」の元になった英語が「civilization」(シビリゼーション)ということを知ればカンタンです。
文民統制を意味する「シビリアン・コントロール」のシビリアン(民間人)。福澤諭吉が「civilization」を文明開化と訳して『文明論之概略』で使ったようです。

《 主なアスペクトぐらい日本語で書きたい 》

アスペクト(Aspect)は、一般の英語では一つの「局面」を意味します。
天文学や西洋占星術では、「位相」や「座相」と訳しますが、内容としては、やはり「一つの局面」です。
「座相」、「アスペクト」は、個人の性格や運命に彩りを与えます。
未来予測においても、個人や人類社会の運勢や出来事に方向性を与え、一つの局面をもたらしますが、宝瓶宮占星学では、それを「星のディレクション」と呼んでいます。
「今週の星の動き」では、主なアスペクトをカタカナ英語ではなく、日本語によって表記しています。
理由は、次の二つです。
1、英語のカタカナ表記だと長くなる。
2、意味の分かりにくい西洋語よりも、日本語のほうが理解しやすい。
西洋占星術だからといって、欧米(西洋)語で表記しなければならないという決まりはありませんよね。
日本から新しい西洋占星術の解釈を発信してもいいのです。
西洋文化を積極的に取り入れ学んだ「文明開化」から約130年、「ギブ・ミー・チョコレート」から60余年、いまだに西洋崇拝でもありませんよね。
それとも、日本語表記では西洋占星術の神秘性や「信者」へのありがたみが保たれないと思われますか?

One-Point ◆ 西洋占星術マニアであれば、「アスペクト」だとか「オポジション」だとか「グランド・クロス」をキーボードを打つのが面倒くさくて、「アスペ」「オポ」「グラクロ」と略して書いたことがあるのではないでしょうか? それならいっそうのこと、「衝」とか「大十字」でもいいのです。

《 メジャー・アスペクト=メイン・アスペクトの日本語表記 》

まず、西洋占星術でいうメジャー・アスペクトの日本語表記は次のとおりです。

コンジャンクション

=0度 コンジャンクション(Conjunction)

コンジャンクションは、天文学でも使われます。黄道上の同じ位置に惑星が重なることです。 「結合」といった意味ですから、コンジャンクションのアスペクトの日本語表記は、慣用どおり「合」です。

セクスタイル

六分=60度 セクスタイル(Sextile)

セクス(sex)は、ラテン語でシックス「6」という意味。タイル(tile)は風呂場のタイルなどのように分かれて構成されたものと考えて、360度を六分割したアスペクトなので、セクスタイルのアスペクトの日本語表記は「六分」。
ゆえにセクスタイルは、象意を比喩した表現ではなく、座相角を表わした言葉です。

スクエア

=90度 スクエア(Square)

スクエアは、四角形だとか、方形の広場といった意味があります。
90度のアスペクトを、クォータイル(Quartile)と表現する場合には、「四分」という日本語表記になります。
ですが、90度のアスペクトの象意を考えたとき、立場の違ういろんな人が集まる広場を意味する「スクエア」のほうが適切でしょう。
そのため、90度はスクエアで、そのアスペクトの日本語表記は、直角を表わす「矩」です。

トライン

三分=120度 トライン(Trine)

トライアングルといった楽器からも想像できるように、「三角」と表現したいところですが、正三角ではなく、その2点(一辺)なので、迷うところですね。
アスペクトにはいろんな三角形がありますので、結局は〜tile(〜タイル)という言葉は付きませんが、三という意味を使って、ここは古来からの慣用どおりに、トラインのアスペクトの日本語表記は、「三分」です。

オポジション

=180度 オポジション(Opposition)

オポジションも、天文学で使われている言葉です。
黄道上で正反対の位置に星がくることで、天文学でも「衝」という訳語が使われています。
反対側という意味においては、「対」(対相または対座相)という表現も可能なのですが、180度の本来の象意は、西洋占星術ではあまり語られないのですが、衝突などのように「合(一体)」の意味も含む場合がなくはありませんので、オポジションのアスペクトの日本語表記は、「対」より「衝」のほうが適切です。

One-Point ◆ 西洋占星術におけるさまざまなアスペクトのうち、古来からある象意の強いアスペクトを「メジャー・アスペクト」といいます。これに対して、「ホロスコープと配列の法則」でも取り上げた天文学者であり、また西洋占星術師でもあったケプラーが定めた補足的なアスペクトを「マイナー・アスペクト」といいます。

《 マイナー・アスペクト≧ミドル・アスペクトの日本語表記 》

次は、ケプラーが定めたマイナー・アスペクトのうちいくつかの日本語表記です。
「今週の星の動き」では、基本的にマイナー・アスペクトは使いません。
しかし、西洋占星術でマイナー・アスペクトに区分されながらも、一部の西洋占星術研究者も語っているようにメジャー・アスペクトに格上げしてもよいアスペクトがあります。
それらのマイナー・アスペクトは、宝瓶宮占星学においては「ミドル・アスペクト」として区分しています。
ここで取り上げるのは、次の二つです。

クインタイル

五分=72度 クインタイル(Quintile)

音楽で五重奏をクインテッドというように、ラテン語でクイン(クインクエ)は「5」という意味です。
セクスタイル(六分)の項で述べたようにタイルは分割だと考えて、クインタイルのアスペクトの日本語表記は五分割、つまり「五分」です。
でも、これだと単なる座相角を表わした言葉だし、意味は分かりづらいですよね。
宝瓶宮占星学の数理法則から簡単にクインタイル(五分)の象意が見えてくるのですが、ここでは単純に、太陽が絡む五分(72度)はメジャー・アスペクトに近いとお考えください。
そういった適用の狭さゆえにマイナー・アスペクト(ミドル・アスペクト)です。

インコンジャンクト

=150度 クインカンクス(Quincunx)、インコンジャンクト(Inconjunct)

西洋占星術に詳しい方の中には、驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
クインカンクスのアスペクトの日本語表記が、「転」って何よ? って。(笑)
すみません。
西洋占星術には日本語訳が見当たらないので、宝瓶宮占星学の立場からクインカンクス(インコンジャンクト)のアスペクトの日本語表記を、「転」と命名いたしました。
理由は、次で述べてまいります。

One-Point ◆ ホロスコープにおいて、2、3、4、6区分はメジャーですが、5区分はマイナーです。それゆえアスペクトにおいても、マイナー・アスペクト(ミドル・アスペクト)に区分されるのですが、他のマイナー・アスペクトに比べて、特異な象意を持つのがクインタイル(五分)やクインカンクス(転)です。

《 150度のアスペクトをなぜ「転」と命名したのか 》

まずは、150度の英語表記からご説明いたしましょう。
クインカンクスのクイン(クインクエ)は、クインタイルと同じように「5」を意味します。150度が何で「5」なの? と思われた方、正解!
360度の「12分の5」という意味がクインカンクスです。
単に座相角を表わした言葉なので、クインカンクスという表現に、150度のアスペクトの象意は含まれていません。
重要なのは、「インコンジャンクト」という表現です。
誰が名づけたのか知りませんが、素晴らしいですね。
命名者は150度の象意を理解しています。
イン+コンジャンクトですが、コンジャンクトは、0度のコンジャンクション(合)と同じように「結合」を意味します。
では、「イン」って何でしょ?
肯定と否定の両方の意味を持つ「イン(アン)」を意味します。
「結合でありながら、結合ではない」といった特異なアスペクトがインコンジャンクト=150度です。そんな日本語は、なかなか思い当たりません。
というわけで、「転」なら合(同一)でありながら、反転して合ではない、といった意味を持たせられます。輪廻転生のように、本人のようでありながら本人ではないということです。
残念ながらインコンジャンクトは、「生まれ変わり」というオカルトチックな象意を示すアスペクトではありません。
上記のご説明から早とちりをなさらないようにお願いいたします。

One-Point ◆ 150度の表現に「クインカンクス」と「インコンジャンクト」という二つがあって、気分や好みで使われていますが、座相角を単純に表わすのが「クインカンクス」、アスペクトの象意を表現したのが「インコンジャンクト」です。日本語表記は、「転」で決定!(笑)

《 アスペクト・パターンの日本語表記は良し悪し 》

最後に、アスペクト・パターン(グループ・アスペクト)の日本語表記です。

トリプル・コンジャンクション

三重合=0・0・0度 トリプル・コンジャンクション(Triple-Conjunction)

三つの惑星が合をなすのでトリプル・コンジャンクション。
日本語表記は「三重合」。
英語表記トリプル・コンジャンクションは長いし、日本語表記「三重合」も漢字変換はしづらい。
でも、トリプル・コンジャンクションのアスペクトの日本語表記は、分かりやすさと三文字ですむ「三重合」に軍配。
ちなみに、マルチプル・コンジャンクション(Multiple-Conjunction)であれば、いくつもの惑星が合でも使えます。
日本語表記は、「多重合」で。
一つのサインやハウスといった範囲に惑星が集まるステリウム(大会、大会合:Stellium)と、これらのアスペクトは必ずしも同じではないのでお間違えなく。

Tスクエア

T矩(T型三角)=90・90・180 Tスクエア(T-Square)

Tスクエアを日本語に直訳すれば、丁字矩でもいいのですが、慣用どおりの日本語表記だと「T型三角」。
入力文字数では、TスクエアもT型三角も、ほぼ同じ手間。
なら、このアスペクトの表記は、Tスクエアのままでもいいですよね。
※付記(2014.08.23):でも最近は、いちばんラクな「T矩」を使っています。

グランド・クロス

大十字=90・90・90・90 グランド・クロス(Grand-Cross)

キッカリと十字型なので、このアスペクトの日本語表記は、「大十字」。
でも、グランド・クロスとローマ字入力して、一発変換でカタカナするのと、第十次、代十次,大十次などから、「大十字」と意図する漢字に変換するのとでは、手間隙は同じくらい。
むしろ、一発変換の分、最初はカタカナのほうが楽かも…。
ただ、慣用したり、辞書登録すれば、文字の短さでは「大十字」に軍配。
一般的には、甲乙はつけられないかも…。

グランド・トライン

大三角=120・120・120 グランド・トライン(Grand-Trine)

これも、そうですね。大三角もグランド・トラインも、甲乙は付けがたい。

カイト

=60・60・120・120 カイト(kite)

西洋凧のような形だからカイト。
厳密な表現をすれば、グランド・トライン・カイト(Grand-Trine-Kite)といいます。
で、「T・A・K・O(タコ)」とローマ字入力して、いろんな蛸・多胡・凧から日本語変換するのが早いか、「K・A・I・T・O(カイト)」と打って一発でカタカナ変換するのが早いか、これも甲乙付けがたし。

ミニ・トライン

小三角=60・60・120 ミニ・トライン(Mini-Trine)

グランド・トライン(大三角)に対比して、ミニ・トラインなので、このアスペクトの日本語表記は、そのまま「小三角」。
ミニ・トラインというカタカナ英語よりも、「小三角」と日本語で書いたほうが、分かりやすいし、通りがよいと思います。

メディエーション

調停=60・120・180 メディエーション(Mediation)

メディエーションを日本語に直訳して「調停」。
ただし、西洋風にウェッジ(Wedge)と表現する場合の日本語表現は、「くさび」になります。でも、「くさび」だと、ヨッド(Yod)と間違えやすいよね。
「T・Y・O・U・T・E・I(チョウテイ)」とローマ字入力しても、ほぼ一発で「調停」と変換されますので、カタカナ英語のメディエーションとローマ字入力するよりも早い。
象意も「調停」そのままで分かりやすい。
そういったことからメディエーションのアスペクトの日本語表記は、「調停」でOK。

One-Point ◆ このほかにも、さまざまなアスペクト・パターン(グループ・アスペクト)があります。代表的なところでは、90・120・150のカドリフォーム(Quadriform)、調停座相が二つ重なった60・60・120・120(180×2)のミスティック・レクタングル(Mystic Rectangle)、キレイな亀甲型の60×6個(120×6個、180×3個)のグランド・セクスタイル(Grand-Sextile)、72度×5個のグランド・クインタイル(Grand-Quintile)、ヨッドのカイト版であるブーメラン(Boomerang)、これはヨッド・カイト(Yod-Kite)ともいいます。書けばきりがないほど。

《 特異なアスペクト:ヨッドとミューチュアル・リセプション 》

特異なアスペクト、ヨッドとミューチュアル・リセプションの日本語表記をご紹介して終わります。

ヨッド

Y型三角=60・150・150 ヨッド(Yod)

海に浮かぶヨットの三角帆からイメージしてヨッド…ではなく、Y字型の座相なので、ヘブライ語のアルファベットでYを意味するYod(ヨッド、ユッドとも)。
日本語表記では「Y型三角」という表現になりますが、カタカナ英語でも三文字で済みますので、わざわざ日本語にしてややこしくする必要はないですね。
いろんなY型がありますので、このアスペクトは、カタカナ英語のまま「ヨッド」でOK。
ちなみにヨッドは、150度+150度+60度というように150度が二つ重なっているので、「転」が繰り返されるアスペクトです。
西洋占星術に詳しい方なら何となくでも見えてきたでしょ、ヨッドという特殊なアスペクトの象意が…。
なので、150度の日本語表記は「転」で決まりです。

ミューチュアル・リセプション

交歓=ミューチュアル・リセプション(Mutual-Reception)

最後に、アスペクトならざるアスペクトとして、ミューチュアル・リセプション(ミューチュアル・レセプションとも)を述べておきます。
お互いのサインの共鳴星(西洋占星術では支配星)が、相手のサインにあることをミューチュアル・リセプションといいます。
例えば、牡羊宮の共鳴星(火星)が射手宮にあって、射手宮の共鳴星(木星)が牡羊宮にあるような場合です。
相互に歓迎し合うという意味なので、お互いの星の象意が交じり合います。
ただ、100%入れ替わるわけではないので、交じり合う加減を見抜くのがポイント。
強いて日本語表記にすれば「交歓」ですが、まぎらわしいので、素直にミューチュアル・リセプション(M.R.)でいいのではないでしょうか。
※参考:「歓迎会( Reception )」をカタカナ英語で書くと、日本では「レセプション」と表記します。しかし、英語の発音は、リセプション[] なので、ここでは「ミューチュアル・リセプション」と表記統一しました。

One-Point ◆ アスペクト・パターン(グループ・アスペクト)においては、無理に日本語で表記しなくてもよく、メジャー・アスペクトとミドル(マイナー)・アスペクトを主に日本語表記にすればよいようです。要は正しく伝わればいいので、ケース・バイ・ケースで使い分けてアスペクトを表記してまいります。

アスペクトを活かすということ
他のページでも何度か触れていますが、アスペクト自体に「吉・凶」はありません。ハード・アスペクトが「凶」、ソフト・アスペクトが「吉」というのは、西洋占星術に特有の拡大(一面的)解釈です。アスペクトを「吉・凶」と結果として決めつけるのは、本人から自由や主体性を奪って「占い」のドレイにしてしまうようなものです。アスペクトを活かす活かさないは本人次第です。最低でも、西洋占星術における有名な言葉、「星は示唆すれども強制せず」を理解する必要があるでしょう。

【↑上に戻る】

今週の運勢/牡羊宮〜乙女宮天秤宮〜魚宮 ← BACK

CLOSE

※当ページの内容は著作権法により保護されております。無断使用はご容赦お願い申し上げます。

Copyright(C) 2005-2009 Aquariun Astrology - Seiji Mitoma All rights reserved.