宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しい西洋占星術―

ハウスを知る12人の住い人
[ナビゲスト] 
― ホロによって多少異なるけれど ―

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現代占星術はこうしてハウス(室)解釈を失った


●第1稿 : 2023年11月17日アップ


新企画『12室の住人たち』を「ポッキーの日」(11月11日)にお申し込みをされた皆さまにお届けいたしました。

当該テキスト講座の意図は、12ハウス(室)の正しい理解と解釈です。

現代占星術の最大の課題は、ハウス(室)にあるためです。

「古典アストロロジー」をふまえつつ、新理論「基本三数」(根幹法則)によって、分かりやすくかつ“感涙”の内容で簡潔に解説いたしました。

ホロスコープの12ハウス(室)にお住いの“ナビゲスト”のお部屋をたずねて、基本の象意をうかがったのです。


《 なぜ、ハウス解釈が不得手? 》

住人たちご自身がお住いの12ハウス(室)のことです。

それぞれのハウス(室)について最もよくご存じです。

ただし、ホロスコープによって多少の“くせ”が出ることがあります。

それはアスペクトの違いがメインなので、当該ホロスコープのオーナーである皆さまが何気であっても感知できることでしょう。

ここからは、少し辛口になりますが、現代占星術がなぜ「ハウス解釈」を不得手としているのか、一筆啓上いたします。

現代占星術は、ホロスコープ解釈の理論を持たない“占い”ということを意味します。

一般的には“西洋占星術”と呼ばれますが、理論を伴なった「アストロロジー」とは異なることをしっかりとご理解いただきたく存じます。

一部から「えーっ、ウソー!」という声も聞こえてきそうですが、続けます。


One-Point ◆ “占い”に理論は不要です。逆にあったら“ダメ”です。なぜなら、理由が分からないけど“当たる”ことがあるというのが“魅力”だからです。「秘するが花」と言われるとおり、理論を公にしてしまうと、驚きや魅力が半減します。



《 “疑似科学”とされつつも 》

ホロスコープが発祥したのは、2,000年以上も前の古代ギリシャです。

ここ最近、当サイトでは正確を期して「古典アストロロジー」と表記しています。

フィロソフィー(愛智、哲学)に基づいた当時最先端の世界観をホロスコープ解釈の「古典理論」としつつ、医学をはじめ、実用的に解釈を深めて活用され、その広い叡智は世界に受け入れられていきました。

ところが、ローマ国教となったキリスト教の迫害を受けて一時は、アラビアに移り“アラビック・パーツ”などの不可思議な解釈が付加され、時代の変化に伴なって再びヨーロッパに逆輸入されていきます。

16世紀に古代ギリシャ以来のホロスコープ解釈の「古典理論」(四大元素説)は、近代科学によって“疑似科学”(迷信)との烙印を押されてしまいました。


One-Point ◆ 疑似科学とされた“非科学的”な理論を維持したまま、ホロスコープを解釈し続けた人物がいました。彼はそこから象意解釈を見出し、16世紀に“古典占星学”を確立したのです。



《 “占星学”の知られざる経緯 》

上の「One Point」に記した内容は、今日の現代占星術であまり語られることはありません。

なぜなら、正体がバレてしまうウィーク・ポイントだからです。

後年の現代占星術は、この古典占星学が築いた象意解釈のみを流用して、理論なき主観的な象意解釈を重ねに重ねつつ、試行錯誤を繰り返しています。

ヨハネス・ケプラー

著名な天文学者で占星術師ともなったヨハネス・ケプラー(1571-1630)は、“疑似科学”となった古代ギリシャの世界観による「古典理論」を用いて、ホロスコープ解釈を続けました。

ただし、学術(科学)として信用を失った「古典理論」ゆえ、“占星学”として活用し、天文学研究の資金調達に充てたのです。

そのときの有名な言葉が残されています。

「このおろかな娘“占星術”は、一般からは評判のよくない職業に従事して、その利益によって、賢いが貧しい母“天文学”を養っている」

言い訳と聞こえなくもありません。

科学者としての信用を維持するためにも、彼はそう言うしかなかったのでしょう。


One-Point ◆ 個人的には次のように思います。今日の象意解釈の基礎を築いたのは“宇宙の調和”を確信していたケプラーです。彼はホロスコープの理論解釈からもそのことを実感し、多くのマイナー・アスペクトを定めています。



《 秘境=エソテリック占星術 》

問題は、ここからです。

巷で“現代占星術の父”と呼ばれる19世紀後半のアラン・レオは、当時の社会風潮もあって、ホロスコープ解釈から理論を完全に捨てました。

象意解釈のみを流用して、現代占星術“エソテリック占星術”を立ち上げたのです。

“理論なきホロスコープ占い”のはじまりでした。

彼自身「自分がはじめたのは“エソテリック占星術”だ」と明言しています。

エソテリック占星術というのは、一部の選ばれし人のみに伝えられる秘境占星術(神秘占星術)のことで、今風にいえば“スピリチュアル占星術”になります。

ウソではありません。

One-Point ◆ 彼が占星術をはじめた当時は、ポルターガイスト現象に端を発した世界的な「心霊ブーム」(近代スピリチュアリズム)の真っただ中でした。科学を超えた“霊現象”や“死後の世界”への関心がピークとなり、「降霊術」が盛んに行なわれていた時期でした。


《 12ハウス(室)を用いても… 》

当時の心霊ブームの真っ最中に、著名な霊媒師マダム・ブラヴァッキーが率いる神智学協会(新興宗教)の占星術支部に所属したのがアラン・レオです。

現代占星術の故地ともいえ、科学的(学術的)な理論を伴なう「古典アストロロジー」とは似て非なる理論を伴なわない“ホロスコープ占い”のはじまりの場所です。

同じようにホロスコープを用いても「学術」と「占い」とは正反対のカテゴリーです。

良いとか悪いとか正邪を述べているのではありません。

アストロロジカルに申し上げますと、現代占星術は“事実誤認”をもたらす「海王星」の古い象意に基づきますので、「木星」の古い“学術”といった象意から2,000年以上前に誕生した「古典アストロロジー」とはジャンルの異なる別物だといえます。

いずれも形而上的な象意を持つので、魚宮の新旧の“支配星”になっていますが、どちらを選択されるのかはお一人ひとりのご自由です。

要は、理論を完全に捨てたゆえに、現代占星術は誕生から100年以上が経った今でも、どの「ハウスシステム」が正しいのか決められず、個々の占術師の判断に委ねらるほかないという呆れた現状です。

問題は、そのような現状があるにもかかわらず、12ハウス(室)のホロスコープを堂々と用いても、解釈は不得手とするほかないことを意味します。


One-Point ◆ ハウスシステムは、よく知られているものでは「プラシーダス」「コッホ」「レジオモンタナス」「キャンパナス」があります。ほかにも有名なものだけで10種類以上、全部で100種類近くもあるといわれますが、混迷している証拠の一つなのです。




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