宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しい西洋占星術―

西洋占星術の陥穽と混迷
―信仰に陥った西洋占星術?―

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小惑星・サビアン・ハーモニクス? 何かヘンだよ西洋占星術!

星のない白鳥座

●第1稿 : 2008年10月14日アップ
●改訂稿 : 2022年 3月27日アップ




10個のメインプラネッツとは?

●太陽・水星・金星・月・火星の5つのパーソナル・プラネットに、木星・土星・天王星・海王星・冥王星の5つの星を加えた占星学で使われる代表的な星がメインプラネッツ(十大惑星)です。

ASC(アセンダント=上昇点)やmc(南中点)など、またドラゴンヘッドやドラゴンテールなどは、星のように実体をもたないために、本来、占星点(Astrological Point)と呼びます。

皆さまはどうお感じか分かりませんが、「現代西洋占星術」ってヘンなのです。(失礼!)

学びはじめたばかりの皆さまならともかくです。

そこそこの力をもって現代占星術の解釈を深めようとしておられる皆さまは、ご自分でも知らないうちに「占星術信仰」に浸っているのかもしれません。(笑)

《 間違っているのは現代占星術のどこ? 》

このページでは、現代占星術のヘンなところを述べてまいります。

で、批判されたくないかたは、お読みにならずにページを閉じましょう。非難ではなく、批判です。

一応の根拠は示しておきます。

基礎を学ばれて、そこそこの解釈ができるようになられた占星術マニアの皆さまは、どうしてもキロン、ケレス、パラス、ベスタ、ジュノーなど小惑星の解釈や、サビアンやハーモニクス(ハーモニックとも)といった分野にも目を向けられるでしょう。

そこで「何かヘン!」と気づいて、目を覚ませばよいのですが、ますます深みにはまってしまうかたもいらっしゃると思います。

たとえば、ベーシックなホロスコープの解釈だけでは、どうしても「当たらない部分がある」と感じるから、小惑星やサビアンやハーモニクスなどの解釈を理解できれば、当たるようになるかもしれない、と思うのではないでしょうか?

で、当たるようになりました?

12サイン(宮)、12ハウス(室)、十大惑星(メイン・プラネット)、メジャーアスペクト(座相)、これに少々加えたベーシックなホロスコープの解釈で十二分に用が足せれば、そういったものは、あまり必要としないのです。

現代占星術のベーシックなホロスコープの解釈自体に不備があるのに、屋上屋を重ねても、やっぱり間違った道を進み続けるしかありません。

One-Point ◆はじめに:新しい西洋占星術の時代」にも書いたのですが、これが現代占星術が混迷していると感じた理由の一つです。考えてみれば当然のことです。どこか「当てることができない」理由を、自分の理解不足だと考えているのです。ではなく、ベーシックなホロスコープの解釈そのものが、神話やオカルトに陥った現代占星術では不十分(ムリ)なのです。


『魂の西洋占星術』への補足

●一応、心理占星学研究家とも西洋占星術研究家とも名乗る氏の名誉のために書き加えておけば、キロンが発見されたのは1977年。

氏の同書籍が発売されたのが1991年です。

研究する期間が短すぎます。

焦りすぎるのです。

また、今から十年以上も前の著述なので、現時点の氏の西洋占星術のレベルが奈辺かは知りません。

テレビで見かけたこともありますが、占断内容は番組に都合よく、かなり編集(カット)されているようでした。

もう見切りをつけたので、その後、氏の著作を読むこともなくなったからです。

《 小惑星云々よりもメインプラネッツの実感から 》

簡単にご説明しておきましょう。

10個のメインプラネッツに比べて、キロン、ケレス、パラス、ベスタ、ジュノーなどの小惑星が、どれくらいの影響力を示唆していると思われますか?

仮にいくばくかの影響力を示唆していたとしても、メインプラネッツに比べて曖昧さが残った解釈なので、とても実占的に信用できるものとはいえません。

キロンにしても、同様です。

旧聞ですが、心理占星学研究家とも西洋占星術研究家とも名乗る氏の『魂の西洋占星術』に書かれたキロン(キローン)の解釈を読んだときにハッキリと分かりました。

「西洋占星術のカリスマ」とも言われたことのある同氏の解釈レベルが、神話や受け売りとしか思えない踏み込みの浅いものであって、こんなものでリーディングを行なっていたら、子供だましの「占い」から絶対に抜けられないと分かったのです。

小惑星云々の前に、まず基本となるサインや10個の十大惑星(メイン・プラネット)などの象意を正しく真に理解すべきではないでしょうか?

「正しく真に」というのは、誰かの受け売りではなく、本当に自分の頭と感覚とを使った実占研究によって、自分自身が星々の象意を「実感」することです。

日本占星術に多大な貢献をした故ルル・ラブア師でさえ、「星の語る言葉を人間の言葉に”翻訳”するという作業は思ったよりむずかしく…」と書いているように、文献の表現が必ずしも適切な用語や脈絡で行なわれているとは限りません。

西洋占星術を極めようとすれば、最後は自分で「実感」できるところまで至らなければならないのです。

プロであれば、それを正しい言葉で人に伝えられる表現や工夫が必要となってまいります♪

One-Point ◆ ルル・ラブア師は、むやみやたらと小惑星やハーモニクスなど横道にそれることなく、真摯に日本に合った現代占星術の解釈を深めてきたのです。同じ現代占星術であっても、アメリカやイギリスなど海外とは感性(国の象意)が違う部分がありますので、外国かぶれすることなく、日本なりの解釈を実占的に深めることが必要です。

間違いの多い「潜在意識世界」

●無意識や潜在意識世界の実情を本当に理解している人は、ほとんどみかけません。

「ある」というのは事実ですが、それがどのような「実態」と「関わり」を持っているのか、正しく理解している人が少ないのです。

潜在意識というのは不思議世界なので魚宮に象意を持つ人は惹かれ、蠍宮に象意を持つ人は秘密を解明しようと意を決して試みます。

皆さまにお聞きします。

ユング心理学が「潜在意識世界」のすべてを解き明かしているとお思いですか?

残念ながら、せいぜい海上に現れた氷山の1割と同程度でしかありません。

そんなもので占星学の本質が見抜けないことに心理占星学の皆さまは気づかなければなりません。

《 実情は現代占星術の亜流にすぎない? 》

サビアンやハーモニクスにしても同様です。

ベーシックなホロスコープの在り方から離れて、12サインや12ハウスに重きを置かない(使用しない)サビアンやハーモニクスが、果たして本当にアストロロジーといえるのでしょうか?

本来、12サインや12ハウスには深い意味が隠されていますので、ホロスコープ解釈には、やはり、どうしても必要なのです。

それらを見失わせるようなサビアンやハーモニクスは、13星座占いよりもマシですが、結局は、古代ギリシャのアストロロジー(通称:古典占星学)また現代占星術の軒下を借りた亜流にすぎません。

言っている意味は分かりますか?

ちゃんと12サインや12ハウスを用いたベーシックなホロスコープの解釈で十二分に用が足せる複合的かつ絶妙なリーディングができていれば、特別な場合を除いては、それほど必要としないのです。

現代西洋占星術は、次項に書くように、「海王星」の時代的な象意によって自らの基本原理(存在位置)さえ認識できない”夢見心地の状態”にあるのです。

そのために、主体性をなくし、キワモノに振り回されてしまうのです。

心理占星術(学)にしても同様です。

ユングが「オカルトチックな物事になぜ人は興味を持つのか?」といったことから、ペルソナやシャドー、アニマやアニムスといった無意識世界に初めて心理学で言及したとしても、それが本来の占星学にどこまで踏み込んでるの? ということです。

古代ギリシャ時代に、医学の祖(父)ヒポクラテスが「占星術を理解しないものは医師ではなく愚か者である」と言ったことは、西洋占星術の知識があるアマやプロの皆様ならご存じでしょう。

心理占星学(術)を信奉する彼らは、「心理占星学(術)を理解しないものは、心理学者(心理カウンセラー)にあらず…」とでもいうつもりでしょうか?(笑)

それは、「西洋占星術はどこか当たらない」という自戒の念を招くことしかできません。

占星学を用いたカウンセリングを目指しているにしても、まるでアナクロニズム(懐古主義)の一種としかいいようがないのです。

空想である神話や曖昧な人間心理などによって解釈された「心理占星学」などに一般の人が惑わされてはいけません。

それは本来の占星学を矮小化し、曲解を招くのみならず、訳の分からない個人的な幻想世界に引き込むものです。

ちゃんとベーシックなホロスコープの解釈を理解し、応用できるようになれば、ユング心理学の範疇などに本来の占星学が収まるものではないことは自明です。

One-Point ◆ 常識的なことを書いて批判しているつもりです。単なる非難ではないことをご理解ください。ただし、現代占星術の信者さんに“棄教”を迫るつもりはありません。「信教の自由」は保障されていますので、皆様はお好きに「占星術信仰」を続けられたらよいのです。

「木星」と「海王星」の類似象意

●水瓶宮の“支配星”とされる「天王星」と“副支配星”の「土星」に類似の象意があるように、魚宮の“支配星”の「海王星」と“副支配星”の「木星」にも類似の象意があります。

簡潔にいえば、古典占星術の“支配星”の象意を、拡張(意味をお間違えなく)したものが、現代占星術の新しい“支配星”という関係になっています。

理由は、時代とともに人類社会がグローバル化(拡大)したからです。

右の本文に関連して一例を挙げれば、「木星」は、世界四大宗教など高等宗教といった基本宗教を象わします。

一方、「海王星」は、同じ宗教であっても、高等宗教を拡大して、数多く起こった新宗教や新興宗教(オカルト宗教)を象わします。

そのため海王星の発見以後の19世紀から、20世紀の宝瓶宮時代のビッグバン(1989)を迎えるまで、世界各国や日本で数多くの新(興)宗教が起こってきた事実があるのです。

《 「木星」から「海王星」への転換が意味するもの 》

さて、もう一つ、別な観点から西洋占星術の「ヘン」なところに迫りましょう。

それは、何度もこのサイトに出てくる西洋占星術の「信者」という表現とも関係があります。

双魚宮時代(そうぎょきゅう じだい)の影響が現われはじめた紀元前5世紀頃に、古代オリエント(メソポタミア)の占星学は、古代ギリシャに伝えられ、アストロロジー(通称:古典占星学)としての揺籃(ようらん)を迎えました。

占星学が持っていた当時の科学(天文学)はギリシャの先賢らに受け入れられ、先ほどのヒポクラテスの言葉ともなっていったのです。

それは医学の分野のみにとどまらず、時の最先端科学として化学、鉱物学、植物学、動物学など、多くの分野の先賢らが占星学を学問において実際に活用しました。

当時は、現在の科学(物理学)とは違って、「哲学」に近い疑似科学だったからです。

そういったヘレニズム文化によって、初期の古典占星学は、実践哲理(当時の実学)として次第に原型を整えていったのです。

堅苦しい話はともかく、海王星が発見される19世紀まで、魚宮(双魚宮)の“支配星”は木星でした。

これが意味するところは、双魚宮時代の占星術は、当時の魚宮の“支配星”である木星の象意、“哲学”によって構築・維持されていたという事実です。

なぜなら、皆さまが幸運の星と崇める木星は、高い“精神性”や“哲学”を意味しているからです。

それが、古典占星学が拡大・発展していった理由の一つです。

しかし、時は移り、宝瓶宮時代(ほうへいきゅう じだい)の影響圏が1630年頃にはじまると、近代科学の発展とともに退けられていた占星術(学)は、1846年の海王星の発見後、いわゆる“星占い”として萌芽し、のちの土星外惑星(トランスサタニアン:天王星、海王星、冥王星)を加えて、現代占星術となりました。

ご存じのように現代占星術では、「海王星」を魚宮の“支配星”としました。

19世紀末当時の世界的なオカルトブームとともに…。

もう、お分かりでしょ?

海王星の象意には、“宗教”(オカルト宗教)や“幻想”、強いていえば“信者”(俗な表現をすれば自己犠牲や奉仕・崇拝の精神を持った「M」です(笑))があります。

そういうわけで、今の現代占星術は、双魚宮時代の終焉(しゅうえん)とともにある断末魔の輝きとして、「解釈を深めて工夫すれば、必ず当たるようになるはずだ!」という“占星術信仰”ともいうべき“幻想”を追い求める“信者”を生み出していったのです。

まるで、キリスト教徒や仏教徒が、まだ見ぬ「パラダイス(天国理想)」や「極楽浄土」を信じたように…。

One-Point ◆ 現代西洋占星術は、20世紀に花開いた、とんで♪回っていく「夢想花」にすぎません。なぜなら、1989年の宝瓶宮時代のビッグバンによって、双魚宮時代のインスピレーションは衰退していったため、現代西洋占星術は混迷を深めるしかないからです。
(注)ただし、純粋な占い(お遊び=オカルト)としては生き残ってまいります。

宝瓶宮占星学の探究は逆方向

●右の本文に書いたように、海王星の象意を持つ今の現代占星術は混迷しています。

そう悟ったとき、「これはもう、自分で正しいホロスコープ解釈を確立していくしかない」と考えました。

サインは、ハウスは、星(天体や占星点)は、アスペクトは、なぜそのような象意を持つのか?

それ以前に、ホロスコープとは何か?

そもそも、アストロロジーとは何か?

宇宙や星の本質とは何か…?

など、皆さまとは逆に、根源を問うていったのです。

そこから基本原則を見出し、象意を導き出して、裏付けとしました。

併せて、宝瓶宮時代のはじまり、ならびに現実社会との対照を確認するに至り、宝瓶宮時代の新しいアストロロジー(通称:宝瓶宮占星学)を提起しているのです。

《 ギリシャ時代の四元素分類って古すぎ! 》

やっぱり、西洋占星術って、ヘンなのです。

他のページにも書きましたが、未だに古代ギリシャ時代の四元素を使って得意気に区分しているのも、「何かヘン!」です。

中国占術では「木火土金水」で相生・相剋といった関係性を象わしますが、占星術は「火風水土」といった基本四区分で特性を象わします。

「木火土金水」には「風」がありません。

「火風水土」には「木」と「金」の概念がありません。

どちらが正しいかではなく、自然の一存在物を使っていることです。

古代ギリシャ当時、世界万物は「火風水土」の四つの元素から成り立っていると考えられていました。
→「基礎理論の必要性」の欄外参照。

人間には、「知性」や「感情」、そして見たことありませんが「霊性」といった自然以上の要素を持っています。

それゆえ人間なのです。

そういった人間の性質を占断する場合も多いのに、なぜ未だに「火風水土」といった自然の四元素なのでしょうか?

ここまで人類社会や現代科学が発達しているにもかかわらず、未だに何の疑問も持たずに古代ギリシャ時代の科学レベルを解釈に使っているのです。

現代占星術の著述やサイトを読むと、「過去の文献にはこう書いてある」といった記述や、「オーソリティー(権威者・大家)はこう言っている」といったような記述を目にすることがあります。

また、サインやハウスや星やアスペクトの象意を、誰かのテキストそのまま、自ら検証することなく書き写しているようなものさえあります。

過去の文献や権威者の教えを疑いもせず受け入れているかのようです。

「過去の文献=教理や教義」、「オーソリティー(権威者・大家)=教祖さま」と置き換えれば、そのまま「現代占星術教」が成り立ちそうです。

とすれば、皆さまは「信者」ですか?

「信者」は、自分のアタマで考えることが少ないのです。

精神的にどこか自立していないのです。

これって、やっぱし「何かヘン!」ではありません?

初心者が、とりあえず基礎を学ぶために受け入れるのは理解できますが、いいキャリアを持った人までがねェ〜。

One-Point ◆ いずれ書くことがあると思いますが、「火風水土」の四元素は、「意知情実」や、「意志・関係・情感・実体」や「目的性、関係性、情愛性、実在性」などの性質としてアクティブに区分したほうが、よっぽど理解しやすいと思いません? 応用がしやすし、そのほうが「火風水土」より実学に展開することが可能です。




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