宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しい西洋占星術―

ホロスコープ・リーディング
基礎から学ぶホロスコープ
第1回:ホロスコポス=時の見張り番

西洋占星術は、まず「ホロスコープ」を正しく知ることからはじめるべきです。
ここでは直接、ホロスコープ・リーディングのノウハウには触れませんが、
その前提となる「ホロスコープとは何か?」を基礎からご紹介してまいります。

ホロスコープに秘められた「時」の観測と春分点のはじまり

西洋占星術でも宝瓶宮占星学でも、ホロスコープをリーディングをしようとするとき、「ホロスコープとは何か?」という基本を理解しておくことは重要です。
「ホロスコープとは何か?」ということを理解していなくては、「リーディングのノウハウ」という解読の公式も正しい解答も導きにくくなるからです。

カルデア人の天体観測

●第1稿 : 2010年02月14日アップ

《 ホロスコープの理解 》

西洋占星術の始まりは、約4,000年ほど前の古代メソポタミアです。
カルデア人による占星学が、古代ギリシャの知性を経て、西洋占星術(古典占星術)として成り立ちました。
西洋占星術はホロスコープをリーディングできてこそ、ナンボです♪
正しいリーディングができてこそ、初めて役立つ有益なものになります。
逆に、間違った解釈をしてしまうと有害なものになる可能性さえ出てまいります。
西洋占星術、また占星学は、ホロスコープから性格や運勢、また相性や社会の出来事などを読みとるものです。
それを「占い」と呼ぼうが「科学」と呼ぼうが、それが事実です。
「当たる・当たらない」「役立つ・役立たない」はあっても、何らかの一面の真実がホロスコープの中にあるために、当たらずとも示唆されることが多々あって、今日まで連綿と続いてきた歴史があります。
では、ホロスコープとは何でしょうか?
このことを理解しておくことが、西洋占星術の大前提です。
なぜなら、西洋占星術は、宇宙(=Astro)を写し取ったホロスコープを、正しくリーディングする学(=Logy)だからです。
それゆえ、占星学を「Astrology」といいます。
どんなにリーディングの技術が優れていても、「ホロスコープとは何か」を理解していなければ、ホロスコープに書かれた複雑な「問題」を読み違えてしまいます。
どこか誤まった解釈の「答案用紙」を提出することになってしまいます。

One-Point ◆ この当然のことを、多くの西洋占星術師や西洋占星術研究家は理解していないように思います。まあ、何を信じるのも皆様のご自由なので、ご自分の好きなようにされたらいいのですが、結果的に誤まった判断をされたり、善意でも、ダマし、ダマされる結果に陥ってしまうことも頭の隅に入れておかなければなりません。

《 ホロスコープを解く「公式」 》

ホロスコープ・リーディングの原理自体は難しくはありません。
学校などでのテスト問題を解くやり方と同じです。
問題成立の条件と、解くための考え方や公式を知れば、誰でも解けるのです。
たとえば、「2×3=?」という問題が出たとします。
「2」や「3」という数字が何を意味するのか、「×」や「=」の記号が何を意味するのか、まず知っておくことが大前提です。
この問題成立の条件を知っておけば、同一の2数が3つあるよ、または同一の3数が2つあるよ、という考え方を表わした問題であることが分かります。
掛け算九九という「公式」を暗記していれば、それを当てはめてもいいし、暗記していなければ指を折って数えても、どちらでも正しい答えは出ます。
ホロスコープも同じです。
平面的な丸い円の中に数字や記号が配置されています。
この問題をできるだけ正しく解きなさい、ということがホロスコープ・リーディングです。
リーディング・ノウハウの公式を知っていれば、そのいくつかを当てはめながら、まだ比較的簡単に解けることでしょう。
しかし、もし知らなければ、指を折るようにして手間隙のかかる作業をしながら、「ああでもない、こうでもない」と考えながらこなすことになります。
それで、正しい答えが導き出せれば、まだいいのですが…。

One-Point ◆ 数字や記号が何を意味するかは、歴史の長い西洋占星術では研究されています。それでもホロスコープ・リーディングが難しい理由は、「公式」を理解していないからです。その公式によって今回、『西洋占星術と宝瓶宮占星学によるホロスコープ・リーディング入門講座』を書きました。

《 本来の西洋占星術・占星学 》

西洋占星術を学んだ方であれば、誰でも度数が何を意味するのか、占星記号が何を意味するのかは知っています。
また、リーディングの考え方も相応に学んでいるでしょうから、どこまで正しいかはともかく、当てはめて解釈することはできます。
ただし、その多くは個々の象意解釈を理解することに流れているために気づいていないのですが、「ホロスコープ」という基礎問題を理解していないようです。
そのために解釈はしても、どこか間違っていたり、部分的な解釈に陥っていたとしても、そこでだけで「当たってる!」と喜んでしまうことや、「やったー!」と満足してしまうことが起こります。
これは西洋占星術が優れているゆえに、逆に起こることなのです。
しかし、本来の西洋占星術や占星学は、もっと怖いくらいに、性格や運命や出来事の真実をつくことができます。
部分的、また表面的な「当たる・当たらない」で一喜一憂しているレベルでは、19世紀末に始まったオカルト占星術(神秘占星術)の域を出ていません。
一般にはそれを、「占い」と呼びます。
現在の一般的な西洋占星術、つまり「当たる・当たらない」や「吉座相・凶座相」のオカルト占星術(神秘占星術)は、古典占星術から派生した亜流であって、本来の伝統的な「占星学」とは一線を画すものです。

One-Point ◆ 下の図「占星学の流れ」をご一覧ください。1846年に海王星が発見された19世紀後半にイギリスで神秘主義(スピリチュアリズム)が盛んになりました。それは心霊ブームやオカルトブームとなって、その教祖的存在であるマダム・ブラヴァツキーのもとオカルトを扱う神智学協会が立てられます。その占星術ロッジ(支部)として、今日一般に流布される西洋占星術(本当は「オカルト占星術」や「秘教占星術」)がアラン・レオらによって始まりました。


占星学の流れ


One-Point ◆ 神秘主義や心霊やオカルトは、海王星の象意です。それゆえ海王星の発見と同時に世界的なブームが起こりました。ルル・ラブア師も、ご自分の西洋占星術が「神秘占星術」の流れを汲むものであることはご存じでした。それゆえにこそ、オカルトチックに流れないように、真摯な解釈を心掛けてきたのです。
しかし、今日では逆に、一見まともな心理学風の用語や、スピ系の解釈を取り入れることでニュー・オカルト占星術が多いので、本物を学ぶ人は気をつけなければなりません。
その一方、オカルト占星術に反発するかのように、現代占星学は、さまざまな解釈や技法による亜流の解釈を生みだし、かえって混迷を深めていきました。混迷や混乱が海王星の一方の象意であることを知れば、それも当然の流れだったのです。


●○○星座のアルファ星って?

IAU(国際天文学連合)が1928年、第3回総会で世界共通に全天88星座と、その境界を定めました。
その星座の中で、最も明るい代表的な星を○○座アルファ星といいます。
二番目がベータ星、三番目がガンマ星です。

《 ホロスコープと春分点 》

以上のことを頭に入れて、ホロスコープの成り立ちを見てみましょう。
古代メソポタミアに始まった占星学は、「時」を無視しては成り立ちませんでした。
なぜなら、ホロスコープ(Horoscope)の語源となった古代ギリシャ語のホロスコポス(Horoskopos)は、「時の見張り番」という意味だからです。
「Hora=時」と「Skopos=見張り番」が組み合わさったものです。
これは古代メソポタミアの占星学者カルデア人たちが、東の地平線上に太陽とともに昇る「ある星」を観測していたことに由来します。
なぜ、カルデア人たちが「ある星」を観測し続ける必要があったのでしょうか?
それは、「時」を知る必要があったからです。
それゆえ「時の見張り番」と呼ばれたのです。
「時」すなわち時間の流れ「季節」です。
時の変化である季節を知るために、彼らは東の地平線上に上昇する「ある星」を観測し続ける必要がありました。
後年、プトレマイオスによって馭者座(ぎょしゃ座)アルファ星カペラ(子ヤギの意)と名付けられた星が、太陽とともに昇るとき、それを1年のはじまりと定めて、毎年の種まきや洪水の時期などを判断していたのです。
古代オリエント(メソポタミア)の占星学は、「当たる・当たらない」の「占い」ではなく、農作業や政治のために必要な「暦」、すなわち「時」を知るための当時の最先端科学だったという事実があります。
1年の基準となるこの星は、のちに、おひつじ座のアルファ星ハマル(羊の頭の意)に替わりました。
太陽がハマル(おひつじ座)とともに昇るときが基準となっていったのです。
これが当時の1年のはじまり、春分点(The First Point of Aries)です。

One-Point ◆ カルデア人たちが星を観測して「時」を知らしめていた故事に基づいて、「暦」のことを「カレンダー」と呼ぶようになりました。第1回は、ホロスコープの語源である「時の見張り番」が、春分点に始まる1年という「時」を観測していたことがお分かりいただければと思います。


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